2024年4月21日(日)

Wedge REPORT

2018年3月7日

 中島さんは会社員時代、企業のブランディングや製品のファンを増やすなど、企業の「コミュニティづくり」をしていた。8年前に体調を崩したことがきっかけとなり、フリーランスとして、同様の仕事を続けている。

 「『コミュニティづくりの仕事をしています』と言うと必ず『どこの?』と聞かれます。やはりコミュニティ=地域、というイメージですよね。結婚してから池袋に引っ越してきて、もともと愛着があったわけでもなく、地域と関わることもほとんどありませんでした。なので、さすがに何かやろうかな、と思い始めました」(中島さん)

 フリーランスだから仕事はどこでもできる。同ビルにできたコワーキングスペースに入居して、地元で仕事をする機会が増えていった。当然地元で過ごす時間が増える。その時知り合ったのが、同ビルの新しい動きを牽引してきた青木純さんで、「もっと町とつながりたい」と話し、開催に至ったのが「としま会議」だ。

近隣で行なったマルシェ開催時の記念写真。左端が中島さん(提供:中島さん)

地域の人と人との出会いの場

 「としま会議」とは、豊島区で面白い活動をしている人たちを毎月5人呼び、話をしてもらう定期イベント。会費は2500円で豊島区在住の人ならば誰でも参加できる。ゲストの分野はかなり幅広く、たとえばある月は家庭科教室の先生、タンゴバーのオーナー、福祉関連の起業家、地域のコミュニティデザインに取り組む人、良品計画(無印良品、豊島区に本社がある)の開発部長など、実にバラエティ豊か。各自の持ち時間は7分とやや短い印象だが、「ちょっと物足りないと感じる時間にわざと設定しています。会の後半は懇親会なので、もっと話が聞きたいと思った人と話すきっかけになりますよね」と、自身が人見知りだからこそ思い至ったという中島さん。「さらに、もっと話したければ皆地元の人だからお店や活動場所に行けばいいですよね。そうして人々がまちを回遊していけばと考えています」という。

 有名人を呼べば大人数を集めることもできるだろう。しかしそれでは登壇者はもちろん自分の隣の人と交流することはまずない。そうではなく、もっとオープンに「少し飲食ができて、地元に知り合いができる場」。こういった会でありがちな、ワークショップをして…となるととたんに敷居が高くなる。そうではなく、言うならば飲み会に行くようなノリで参加できることを目指して始めた。

 ゲストを選定するのは中島さん。毎月5人も様々な分野の人を見つけるのは大変ではないか?という質問には「それは地元に住んでいるからできることだと思っています。路地裏に入って面白そうなお店を見つけたら、すぐに検索したり実際に入ってみたりできますから」という。

 としま会議で知り合った人たちが、その後コラボイベントを行なったり、登壇したゲストのところに地域の子どもたちが遊びに行くようになったり、イラストレーターが地元に絵を描いたり、まちの仲間たちが勝手に飲み会を開いて親睦を深めたり……とさまざまなレイヤーで交流を深めている。過去に取り上げた同じ豊島区内の「シーナと一平」で「長崎二丁目家庭科室」を運営する藤岡聡子さんらも、このとしま会議で出会い、活動を始めることとなった。(http://wedge.ismedia.jp/articles/-/10835 http://wedge.ismedia.jp/articles/-/11856


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