JR池袋駅と大塚駅の間、都電の向原駅から徒歩数分、という場所にあるビルの2階に「日の出ファクトリー」というシェアスペースがある。
1月下旬、極寒の日にもかかわらず多くの母親が子連れで訪れた。地元でデザイン関係やクラフト制作をしている「FrogStudio 手しごと部」による「あみものcafé」が開かれるからだ。いわゆる「あみもの教室」よりももっと気軽に、個々のペースで好きなものを作る、という。しかも、この日は初回ということもあってか編み物には取り掛からず、母親同士・子ども同士楽しそうにおしゃべりしたり遊んだりしていた。
ここは他にも、都会の暮らしの中に植物を取り入れる方法を教えてくれる「エンジョイボタニカルライフ推進室」によるワークショップ教室が開かれたり、落合南長崎の「こどもDIY部」(http://wedge.ismedia.jp/articles/-/11285)が東池袋教室として活動したり、ときにはプロの漫画家が仕事をしたりと、グループ、個人のさまざまな「ものづくり」に携わる人々が訪れる場だ。
豊島区というまちの「面白さ」
この「日の出ファクトリー」を運営するのが合同会社日出家守舎の代表・「つなぐ専門家」として活動する中島明さん。
このビルはいわゆるカスタマイズ可能な賃貸マンションのパイオニア的な存在で、業界ではかなり有名だった。クリエイティブなジャンルの人たちがこぞって入居し、思い思いの部屋を創りあげていく。そうなると隣の人がどんな部屋に住んでいるか気になり、住人同士の交流が始まる。この「ものづくり」を通じた人々の交流によって、後々「日の出ファクトリー」のようなコンセプトの場が誕生した。
ビルには幼児教室や保育園、都電テーブルという飲食店、現在はなくなってしまったがコワーキングスペースもできた。立地が抜群に良いわけではないにもかかわらず、人が集まってくるこの場所を見届けたくなり、結婚後池袋界隈に住んでいた中島さんもこのビルにテナントとして入居した、というわけだ。
豊島区といえば、まずターミナル駅である池袋を思い浮かべるだろう。一方で、そこから一駅いけば、とたんにローカルな町並みが広がっていたりする。「しかもかなり個性的なまちが多い。デパートもある商圏とローカル感が共存している。そこが豊島区の面白さであり、住んで働くことがしやすいまちだと感じます」(中島さん)。