2022年8月10日(水)

WEDGE REPORT

2018年3月7日

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樫山幸夫 (かしやま・ゆきお)

元産經新聞論説委員長

元産經新聞論説委員長。政治部で中曽根首相番、竹下幹事長番、霞クラブ(外務省)詰め、ワシントン特派員、同支局長、外信部次長、編集局次長、正論調査室長兼論説委員、産経新聞社監査役を歴任。2度のワシントン勤務時代は、ホワイトハウス、国務省などを担当、米国の内政、外交など幅広く取材した。

ハワイ付近に着弾も? 

 平昌パラリンピックは、3月9日から18日まで開かれる。閉会時に、機運が盛り上がっている米朝対話構想が挫折していたなら、その後の事態はどう展開するか。五輪のために延期されていた米韓合同演習がどうなるかが大きな焦点になるだろう。

 2月20日、韓国の宋永武(ソン・ヨンム)国防相が韓国国会で、合同演習について3月中に発表すると表明。趙明均(チョ・ミョンギュン)統一相は「実施する方向だ」と語った。2月末に来日したシュライバー米国防次官補も、小野寺五典防衛相に対し、実施することを明言している。

 米韓両国は毎年、3月と4月に合同演習「キー・リゾルブ」と「フォール・イーグル」を行っている。米軍から最大1万7千人、韓国から30万人が参加しているという。

 北朝鮮はこれに対して常に強い警戒感と反発を示しており、今年1月、李容浩(リ・ヨンホ)外相が、国連のグテレス事務総長に宛てて、「合同演習が行われた場合、苦労して築いた対話に大きな困難と障害をもたらす」として、「静観しない」と恫喝した。
 
 さきの米国務省元高官は、合同演習が実施された場合、北朝鮮はさしあたって、ICBMの発射実験を強行してくると予測する。

 北朝鮮は昨年11月29日に、青森県西方250キロの、わが国の排他的経済水域に落下する発射実験を強行した。ICBMとみられ、「ロフテッド軌道」で発射され、高度は4000キロ超に達した。通常軌道で発射されたら、首都ワシントンを含む米国全土が射程に入るという。元高官によると、次に発射を強行した場合、日本をはるかに超えて、太平洋上、ハワイやミッドウェー島付近に着弾させる事態も懸念されるという。そうなれば、対話の機運はしぼんでしまい、北朝鮮に対する武力行使といった事態も現実性を帯びてくる。

頭越し対話への警戒も怠るな

 ただ、米朝対話の可能性が完全に潰えるとみるのは早計だろう。現在も、北朝鮮の国連代表部を通じた「ニューヨーク・チャンネル」などあらゆるルートで、水面下の接触が行われているのは間違いない。トランプ大統領が、今年1月、米紙「ウォールストリート・ジャーナル」のインタビューで、「私は(北朝鮮関係の人々と)つながりがある」と意味深長な発言をしていることからも明らかだ。妥協点が見出されたら、直ちに対話が始まるだろう。

 日本はその可能性も考慮しておかなければならない。1971年のニクソン・ショック、米中頭越し接近は、ある年齢以上の人ならいまだに、忘れまい。当時に比べると、日本の国力がはるかに向上、日米同盟の重要性が格段に増したとはいえ、米国は自らの国益のためなら同盟国すら犠牲にすることをいとわない。

 米国、韓国との連携を密にし、情報を共有、米国を〝監視〟していくことが日本にとって、最も求められることだろう。

  
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