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政治・経済

2018年6月1日

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石井孝明 (いしい・たかあき)

経済・環境ジャーナリスト

慶大経卒。時事通信記者、経済誌フィナンシャル・ジャパン副編集長を経て現在、フリーで執筆活動を続ける。アゴラ研究所の運営するエネルギー情報サイト「GERP」の編集も担う。

問われる表示見直しの先の
リスクコミュニケーション

 日本では社会問題があると、問題の本質に向き合わずに、弥縫策(取り繕い)を講じ、長い目でみると社会全体で損をすることが頻繁に起こる。

 GM作物の表示制度は、それとどのように社会が向き合うかという大きな問題の論点の一つにすぎない。そして現在商品化されているGM作物には、健康リスクに結びつくような事例は報告されていない。不安が消費者に残るなら、それを取り除くリスクコミュニケーションが必要だ。具体的には、どのように受け入れるかの社会的な議論と消費者との対話が求められる。

 しかし現状は限られた包装スペースにおける表面的な表示制度の形に関心が向き、行政も業界もそれにエネルギーを使っている。QRコードを使い製品説明がスマホに映るようにするとか、ホームページの説明への誘導など、新しい技術があるのに食品表示制度への活用は遅れがちだ。本質的な問題についての共通認識のないまま表示制度を詳細に整備しても、消費者が新たな誤解をしたり、食品メーカーが手間をかけて対応しても値上げにより購買につながらない恐れもある。これだと消費者もメーカーも困るだけだ。

 一連の議論をきっかけに、従来の形式にとらわれず、より本質的な食の安全とリスクコミュニケーションのあり方や、遺伝子組み換え作物との向き合い方を議論し、深化させていくべきではないか。

  
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◆Wedge2018年5月号より


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