日本食材を豊富に扱うスーパー
トイレこそ社会を映し出す窓といえるが、世の中の成熟化を現すものとして、スーパーマーケットの存在もある。私は中国のどの町に行っても、スーパーには必ず立ち寄ることにしており、そこで「おや?」と新しい発見することが多い。中国人の日常生活に必要とされているものが、少しずつ変化しているからだ。中国のスーパーといえば、こちらの記事(http://wedge.ismedia.jp/articles/-/12813)でも取り上げた通り、日本ではキャッシュレス化がよく話題に上る。だが、それだけではなく、最近では「食の多様化」も反映している。上海市西部の金虹橋商場というショッピングセンターを訪れたとき、たまたま、オープンしたばかりの小さなスーパーに入った。店名は『CALDI』。日本で輸入食品などを扱う「カルディコーヒーファーム」とは関係ないが、日本人スタッフが店頭に出てきて説明してくれた。
「日本旅行の経験から、日本食材は非常に人気がありますね。たとえば、そばやうどんの乾麺だけでも、産地やブランドの違うものをたくさん取り揃えています。お好み焼き粉や天ぷら粉などを買っていく中国人もいますね。日本に行ってみて、日本料理を自分で作ってみたいという人や、中華料理以外の食に興味や関心を持つ人が急増しているのだと感じます」
やや高級路線で、地元のスーパーには置かれていないドレッシングやソース、珍しい調味料もある。健康によいといわれる「酵素米」というおコメもあり「よく売れている」という。2016年、中国で健康志向の高まりと食の多様化の影響により、それまで大人気だったインスタントラーメンの「康师傅」(カンシーフー)の売上高が落ちている、という報道があったが、若年層になればなるほど食の多様化は広がっており、いわゆる「中華料理」を食べる割合は減少しつつある。