2024年11月22日(金)

海野素央の Democracy, Unity And Human Rights

2018年6月12日

ファーストコンタクト

 トランプ大統領と金正恩北朝鮮労働党委員長の「ファーストコンタクト」は、最も注目すべき点です。最初に出会った時のトランプ・金両首脳の表情、動作及び声のトーンが首脳会談の成否を占ううえで、最大のポイントになるからです。いわゆるケミストリー(相性)が合うか否かも、この場面で察することができます。

 「メラビアンの法則」によれば、感情の表現は表情や声のトーン及びスピードといった非言語コミュニケーションが93%を占めます。言語はわずか7%です。トランプ・金両首脳は会談成功のイメージを創るには、まず笑顔を浮かべて、互いに敬意を示して、融和ムードを演出する必要があります。

 トランプ氏は、握手はすでに交渉の始まりであると認識しており、非常に重要な要素と位置づけています。同氏にはパワーゲームの先手をとるために、握手の「先出し」をして自ら握手を求める傾向があります。率直に言えば、大抵の日本人にはこの認識はないでしょう。

 周知の通り、トランプ氏は握手をする際、相手の手を引っ張り、態勢を崩して自分が強いリーダーであることを演出します。ファーストコンタクトで相手に揺さぶりをかけているのです。次に、相手の手の甲をポンポンと叩いて、「自分がボスだ」「自分に主導権がある」といったメッセージを発信します。

 今回の米朝首脳会談では、トランプ流握手は「禁じ手」と言わざるを得ません。世界の舞台で金氏のメンツを潰す言動は、同氏を困惑させるばかりではなく、トランプ氏にとってもマイナスであることは間違いありません。


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