物価連動国債はさらにインフレに強い
個人向け国債10年物よりも、さらにインフレに強い国債があります。物価連動国債と呼ばれるもので、償還額が満期時の消費者物価指数に連動するのです。つまり、満期時に消費者物価指数が2倍になっていたら、額面の2倍の金額が戻って来るのです。これは、完璧なインフレ対策と言えるでしょう。
問題が2点あって、1点は最低投資単位が1000万円だということです。普通の現役サラリーマンには手が出せませんが、退職金の運用などには使えると思いますし、60歳以上の家計では金融資産が1000万円を超える家計も多いでしょうから、要検討です。
今ひとつの問題は、額面100円の物価連動国債が100円では買えず、最近では105円程度で売られているようです。もっとも、この差額の5円は、保険料だと思えば安いものです。インフレにならなければ100円が100円で戻って来て、物価が2倍になったら100円が200円になって戻って来る保険があって、保険料が5円だというわけですから。
長期金利の基本は予想短期金利(初心者向け解説)
ここからは、長期金利の決まり方について、初心者向けの解説です。10年物国債(これ以降は、個人向け国債ではない、普通の国債について論じます)の利回りは、原則として、今後10年間の短期金利の予想と等しくなります。
もしも、「今後10年間の短期金利の平均は2%だろう」と人々が予想しているとして、長期国債の利回りが1%だとしたら、誰も長期国債を買わないでしょう。長期国債を買うより、1年物の国債を買い、満期ごとに新しい1年物の国債を買う方が得ですから。そうなると、政府は10年物国債を発行したいと思えば、2%の金利を払う必要が出て来るわけです。
もしも、今後10年間の短期金利の平均が2%だとして、長期国債の利回りが3%だとしたら、多くの人が長期国債を買うでしょうが、政府としては2%の金利でも買う人が大勢いるなら、3%の金利を支払う必要はありませんよね。
余談ですが、仮に政府が金利3%の国債を発行すれば、3%国債の値段は上がっていき、値段が110円になった所で止まるはずです。110円で国債を買った人は、毎年3円の金利が受け取れますから合計30円の利益ですが、110円で買った国債が100円で償還されるので10円損して、差し引き20円の利益となります。毎年2%の1年国債を買った場合と同じですね。実際のプロの計算は今少し複雑なようですが。
今のように、日銀が巨額の国債を買ってしまうと、人々が将来の短期金利をどう予想しても、長期金利は極めて低い水準になってしまいますが、将来日銀が今のような超緩和をやめた暁には、長期金利は人々が予想する将来の短期金利の平均に近くなるはずなのです。