2024年12月23日(月)

前向きに読み解く経済の裏側

2018年5月21日

 都心部で保育園の不足が続いていて、待機児童がいつまでもゼロになりません。保育園を作る用地の問題、保育園が迷惑施設だという反対運動の問題、保育士不足の問題などがあり、なかなか保育園が作れていないことに加え、保育園ができると今まで働くことを諦めていた「隠れ保育園希望者」が続々と表面化するので、問題がいつまでも解決しないのだそうです。

 そこで、行政には是非とも「新設タワーマンションへの保育園併設」を支援していただきたいと思います。

(ilyaliren/iStock)

建設時に保育園を予定することが重要

 タワーマンションの用地を買収し、設計図を描く時に、保育園を組み込んでおけば良いのです。保育園のために用地を買収しようと思うと大変ですが、タワーマンションの建ぺい率の一部を分けてもらえば良いでしょう。

 予め保育園が作ってあれば、入居者はそれを承知して入居するわけですから、購入者にしろ賃貸契約にしろ「保育園児がうるさい」という苦情は出てこないでしょう。

 そして、保育園の入所を入居者優先にし、小学生も預かりましょう。365日24時間営業とするのも選択肢ですね。そうなると、無認可保育園という事になりますから、保育料は若干割高となりますが、都心のタワマンに住む人々ですから、料金より利便性を優先する人が多いはずです。

 無認可保育園ならば、保育士不足の問題もクリアー出来そうですね。他の保育園より高い給料を保育士に提示し、その分だけ保育料を高めに設定すれば良いのですから。

 無認可保育園となれば、入所者は自由に選べますから、マンションの入居者を優先すれば良いのです。そうすれば、マンションの入居希望者が大幅に増えるはずです。マンションは、分譲でも賃貸でも構わないと思います。

 保育園から学童保育までの10年余りを賃貸で過ごして転居していく人は賃貸で、という事だとわかりやすいかも知れません。ただ、分譲でも、タワーマンションは意外と入れ替わりが激しいので、「保育園入居権利付き」で高値で売って転出していくことを狙う人もいるかもしれません。

優秀な女性に働いて稼いで高い保育料を払ってもらおう

 タワーマンション入居者優先の保育園と聞くと、「金持ちの金持ちによる金持ちのための保育園」だと考える読者もいるでしょうが、そこは因果関係を反対から読みたいところです。

 学歴の高い優秀な女性が子を産み、かつ管理職としてバリバリ働くためには、深夜まで子供を預かってくれる自宅近くの保育園の存在が非常に重要です。そうでないと、そうした女性が子を生むことを諦めてしまうか、管理職として働くことを諦めてしまうか、という非常に辛い選択を迫られてしまうことになりかねませんし、彼女がどちらを選択したとしても、日本にとり、日本経済にとり、大きな損失となるのです。

 「深夜まで働くことを前提にした議論がおかしい」という批判はあるでしょうし、筆者も建前としてはそう思いますし、働き方改革は懸命に推進しなければならないと強く思いますが、百年なのか十年なのか、とにかく何年かかるかわからないような余裕は我が国にはありません。出産適齢期の女性の数が急激に減りつつあるのですから、事は一刻を争います。

 子育て中の優秀な女性が管理職としてバリバリ働き、育児中も育児終了後も日本経済に大きく貢献してくれるのであれば、彼女が管理職として高い給料を受け取るのは当然のことであり、それを前提とした高級な保育園がタワーマンションに併設されているのは自然なことなのです。

 ちなみに、正社員の女性が出産と同時に退職して専業主婦となり、数年後に仕事を再開するという場合、正社員にはなれずに非正規労働者となる場合が多いので、生涯所得が数分の一に下がってしまうという試算も出ています。まして、将来の管理職として期待されているような優秀な女性であれば、退職により失う所得は巨額なものとなるでしょう。

 そうであれば、仮に短期的には保育料等々の育児費用が彼女の収入を上回っていたとしても、生涯所得を考えれば保育園に預けて仕事を続けることが合理的でしょう。そして、それは日本にとっても日本経済にとっても有難いことです。


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