短期金利の基本はインフレ率(初心者向け解説)
短期金利は、日銀がコントロールしています。その時の最も基本的なことは、短期金利からインフレ率を引いた値(これを実質金利と呼びます)を考える、ということです。
インフレ率が20%の国で金利を10%にしたら、人々は借金をして来年使う予定の物を買うでしょうから、景気はさらに過熱してインフレ率は20%からさらに上昇してしまうでしょう。しかし、インフレ率が0%の国で金利を10%にしたら、誰も借金をして工場を建てたりしないので、大不況になってしまうでしょう。同じ金利10%でも、インフレ率が異なると持つ意味合いが異なるのです。そこで、日銀は「実質金利」を大事にするのです。
次に考えることは、インフレの時には実質金利を高くする、ということです。実質金利を高くすれば、借金をして設備投資をする人が減るので、景気は悪化します。そうなれば、買い手が減るので物の値段が下がり、インフレがおさまるのです。
これは、インフレになると二重の意味で短期金利が上がる、ということを意味しています。実質金利をゼロにするだけでも短期金利をインフレ率と同じ所まで上げなければならず、しかも実質金利を高くするためには短期金利を更に上げなくてはいけないからです。
人々がインフレを予想すると長期金利が上がる
人々が、「今はインフレではないが、数年後はインフレになるだろう」と考えると、人々は「数年後は短期金利が大幅に上がるだろう」と予想しますから、「長期金利がよほど高くないと長期国債は買わない」と言い始めます。そうなると、政府は高い金利の長期国債を出さざるを得ません。
つまり、個人向け国債10年物を持っている人は、インフレになれば高い金利が受け取れるのみならず、実際にインフレにならなくても、人々が将来のインフレを予想しただけで高い金利が受け取れるわけです。
インフレに強い国債だ、という理由が理解できたと思います。それなら、「長期金利の0.66倍しか受け取れなくても、持っている人はきっと満足できるだろう」と筆者は考えています。
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