家電口論

2018年6月30日

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多賀一晃 (たが・かずあき)

生活家電.com主宰

スマート家電グランプリ審査員。主催する『生活家電.com』を通じ、家電の新製品情報、使いこなし情報他を発信中。過去、某メーカーでAVメディアの商品企画を担当、オーディオ、光ディスクにも精通。また米・食味鑑定士の資格を有する。水、米、パン、珈琲、お茶の味に厳しい。

ドローンによる撮影
水圧鋼管。バスと比較すると大きさが分かる。

 今回、このサージタンクを登らせてくれると言うので、登りました。外階段、438段。東京タワーの大展望台(150m)の外階段が約600段ですから、かなりのものです。その日は霞がかかり、見晴らしは悪かったのですが、汗ばんだ体に、風が心地よく、普段見られない景色に良い気分でした。晴れると両毛三山に浅間山、遠くは富士山なども見え、絶景だそうです。

水力発電所で、文化に触れる

 水力発電所で驚いたことは、もう一つ。建屋の中が昭和初期の建物を手を入れたにせよ、そのまま残されているということです。これが実に優雅。史料室もあり、中にある社員宿舎用のステンドグラスを見た時は、「ああっ」と声を上げてしまいました。

 昔の実業家は、地方事業を起こす時、必ずと言ってイイほど文化も持ち込んでいました。人を育て、地方貢献するためですね。

社員宿舎に使われたステンドグラス

 ちなみに佐久発電所を作ったのは、当時セメント王と言われ、ヨーロッパの文化の取り入れにも積極的だった浅野総一郎氏。群馬県の地名にない「佐久」が発電所名に使われたのは、これは完成の前年になくなった妻を偲んだものだといいます。

ダムツアーのビジネス化を

 東京電力では、「アクアエナジー100の特典ツアー」(今回はテストツアー)を企画しています。アクアエナジー100は、水力発電100%の電気料金プランです。自然環境を守るための金額込みなので、通常より20%高いのですが、その代わりの特典ツアーというわけです。

 綾戸ダム、昼食、真壁ダム、サージタンク、佐久発電所と廻るこのツアー、日本の地形、水利、建造物としてのダム、人工的な自然保護、サージタンクを登る非日常体験、昭和の香りとビジネス、など様々な視点から物事を見ることができ、非常に面白かったです。電気代と、このユニークな特典が釣り合うかは、見解が分かれるところですが、環境維持は、人間の義務でもありますので、悪くないと思います。

フーバーダム

 また一歩進めて、アメリカのフーバーダムのように、ダムツアーでビジネスを組めないものかとも、思ったのも事実です。こうなると、東電の特典ツアーと言うわけではなくなります。しかし、群馬には、数多くのダムがあり、いろいろなパターンを楽しむことができるのも事実です。讃岐の「うどんタクシー」ではないですが、群馬に「ダムタクシー」があってもイイのではと思います。

サージタンクから3つに分かれ水力発電機につながる水圧鋼管。水を一気に落とし、水車を廻す

再評価するすべき水力発電

 改めて、ダムと水力発電を目にしますと、日本固有のエネルギーとして、水力発電は再評価されるべきだと思いました。

 90%を越す水力発電ですが、未だに高効率を求めて、水車の改良をしています。これは1%でも上がると、最終的にはすごい発電量になるということだからでもし1% 水量を増やせれば、それが全国の水力発電でも同様なら、膨大なエネルギーを生み出せるわけです。

 私は、今あるダムは、徹底的に活用すべきだと思いました。まず火力、原子力に比べて管理が容易です。その上、使い方によっては、知的好奇心を満たす観光資源になるでしょうし、水量見直しにより、火力、原子力の比率を下げることができるかもしれません。

 新しいモノを作るという選択ではなく、あるモノをフル活用する。水資源が豊富な日本が、徹底的に「ダム活」することで、新しい未来へのビジョンが開くよう思います。

  
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