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2018年7月17日

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金子熊夫 (かねこ・くまお)

外交評論家・元外交官

1937年生まれ。ハーバード大学法科大学院卒。外務省で初代原子力課長、国連環境計画アジア太平洋地域代表などを歴任。退官後、東海大学教授(国際政治学)。現在、エネルギー戦略研究会会長を務める。主著に『小池・小泉「脱原発」のウソ』(飛鳥新社)、「日本の核 アジアの核」(朝日新聞社)。
 

 

プルトニウムは余計なものではない

 なお、再処理反対派やこれに同調する一部メディアはしばしば「日本が保有している47トンのプルトニウムで6000発の核爆弾ができる」と宣伝して、あたかも日本政府が将来の核武装を想定して、そのためにプルトニウムを大量に備蓄しているかのように吹聴し、一般市民の恐怖心や不安感を煽っているが、それは由々しいデマゴーグである。

 そもそも普通の原子炉(軽水炉)の使用済み燃料から抽出されたプルトニウムでは実戦的な核爆弾はできないことは科学的な常識である。また、「余剰プルトニウム」を持つべきではないと言うが、日本のプルトニウムにはそれぞれはっきりした使用目的があり、決して余計なものではない。

 また、中には、日本は北朝鮮に核武装を断念させるために自ら再処理・プルトニウム利用政策を放棄すべきだと唱える人もいるが、仮に日本がそれを放棄したとして、北朝鮮が核武装を断念するとは到底考えられない。ここで北朝鮮問題をリンクさせるのは、国際政治に疎い人にありがちな、全くのナンセンスな考えである。日本は、あくまでも原子力平和利用の大原則の下、「安全で平和な原子力」の推進に邁進すべきだ。それこそが唯一の被爆国であり、エネルギー資源小国の責務と考えるべきである。

 要するに、日米原子力協定自動延長と再処理・プルトニウムの問題は、以上のような諸々の点を十分考慮しつつ、長期的かつ多角的な視点から冷静に論ずるべきものであって、情緒的かつ近視眼的な議論を極力避けるべきである。 

  
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