生産緑地の宅地変更による影響はない
首都圏の新築マンションの供給量は13年から毎年減少していたが、17年度は3万5898戸で、前年度より微増した。しかし、不動産物件情報を提供している不動産流通機構が運営する東日本レインズによると、17年度の中古物件の成約件数は3万7329件で過去最高を記録、新築の成約件数を2年連続で上回った。
つまり、新築は高くて手が届かず、仕方なく中古を購入している実態が垣間見られる。「無理をして新築マンションを買わなくてもよい」といった心理が働いているのかもしれない。
中古住宅の市場について井出氏はこのようにみている。
「新築マンションの価格上昇の影響もあって中古マンションも価格が上昇しているが、立地条件の良さやブランド性の高い物件はすぐに売買が成立する状態だ。中古物件も築年や耐震性能などでかなり吟味されているようだ。ただ、少し都心を外れると、中古マンションは価格が割安な新築建て売り一戸建てと価格競合が起き、どこでも好調というわけではない」
一方、2022年までに宅地への変更が規制されている生産緑地が、宅地変更ができるようになる問題については、
「よく聞かれるテーマだが、住宅市場や地価にはほとんど影響しない。なぜなら、生産緑地は利便性のあまり良好ではないところのものが多く残った状態で存在しているためで、マンションに変わる可能性はほぼない。このため地価が上がる要因にはならない。過剰供給も起こらない。空き家も増えない。戸建ての供給は進む可能性はあるが、戸建ては価格の変化がほとんどない市場なので地価を上昇させる要因にはなり得ないし、戸建ての場合は過剰に供給されることもない」
と、マンション市場への影響はないとみている。
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