2024年4月20日(土)

Wedge REPORT

2018年7月31日

心配な金利の上昇

 消費税増税の影響については「今年の秋口から駆け込み需要が出る。増税後の価格は駆け込み需要の反動で低下するが、都心への住み替え需要が強いので、価格が大幅に下がることはない」と分析、大きなマイナス要因にはならないとみている。

 石澤氏が最大の変動要因とみているのは今後の金利動向だ。米国の金利が上がり始めており、日本の投資家の間にも金利が意識されてきている。日銀が金融緩和策を取っている限りは大幅な上昇はないだろうが、先行きを慎重に見極める必要がある。7月26日には長期金利が一時、0.100%を付け、17年7月以来約1年ぶりの高い水準を記録した。今月末に開かれる金融政策決定会合で日銀が長らく続けてきた大幅な金融緩和政策の変更に踏み切るのではないかという市場の観測から、金利の上昇ムードが一気に高まった。この先の動きに要注目だが、長期金利が上がれば住宅ローン金利に跳ね返るため、不動産市況にも影響する。

 国土交通省の住宅ローン金利の実態調査によると、新規に住宅ローンを組む場合の固定金利と変動金利の選択の割合を見ると、この数年は変動金利が56%から50%なのに対して、固定が30%から25%で、変動の方が多い。ということは住宅購入希望者の多くは、住宅ローン金利がしばらくは上がらないとみているのかもしれない。しかし、超低金利が長く続いてきた今の金融情勢は、金利は上がることはあっても、これ以上下がることはないとみるのが一般的だろう。それならば、固定金利にしておいた方が将来的には安心なのではないだろうか。

敬遠される坂の多い街

 石澤氏は、「名」より「実」を取る選択により、住宅購入希望者の意識にも変化が起きているとみる。住宅情報サイト「ライフルホームズ」のランキングでは、「買って住みたい街」のトップテンに、17年から、船橋、流山、柏など千葉県の街が多くランクインするようになった。16年までは吉祥寺、恵比寿、品川といった街が常連で上位を占めていたので、様変わりの結果と言える。

 また印西市(千葉)は、東洋経済の「住みよさランキング」で、12年から7年連続で全国トップになっている。成田空港から都心の新橋まで直通の「アクセス特急」が通るようになったことで、印西市から新橋までの通勤時間が65分かかっていたのが50分にまで短縮された。石澤氏はこうした変化について、「千葉は東京に近くアクセスも良くて価格も高くないので、見直されたのではないだろうか」とみている。

 さらに、「最近は高齢者が増えているので、坂のないフラットな場所での立地が受けているという。印西市(千葉)なども数年前は人気がなかったが、データセンターなど企業集積が進んだことがプラスして交通の便が良いことも評価につながっている。その一方で、いくら一等地でも、坂の多い街は敬遠される傾向がある」とみている。

  
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