苦労人・フランスア
一方、そのメルセデスを解雇した広島でも、今季新たなドミニカ人投手が台頭してきた。5月に契約金1100万円、年俸800万円で6年契約を結んだヘロニモ・フランスア(24歳)である。ローテーションの谷間を埋める先発、中継ぎにロングリリーフと抑え以外は何でもこなし、瞬く間に勝ちパターンのセットアッパーへのし上がった。広島といえば強力打線で打ち勝ってきた感が強いが、「フランスアの粘り強い投球で落としそうな試合を拾ってきたことが大きい」と広島のチーム関係者は指摘する。
このフランスアもメルセデスと同様の苦労人。2014年に練習生として来日したが、当初はまだ力不足を見られたのか、2年目の16年に四国アイランドリーグplusの高知ファイティングドッグスに派遣されている。ここで日本の野球や投球をじっくり勉強して広島に復帰してからも、今春の日南キャンプでは依然として練習生扱いだった。
それがいまでは、〝勝利の方程式〟の一員としてチームを支える存在になった。これに刺激を受けたのか、昨年ヒザの手術を受けた松坂世代の〝元守護神〟永川勝浩が復活するという相乗効果も生まれている。
このように、広島にしろ巨人にしろ、ドミニカ人が大物大リーガーみたいな「助っ人」ではなく、日本人と同じ「生え抜きの若手」としてチームに溶け込んでいることも非常に興味深い。ある広島の関係者はこう予言している。
「あと何年かしたら、あちこちの球団で育成上がりのドミニカ人が活躍するようになるだろう。巨人のゲレーロ、阪神の(ウィリン・)ロサリオみたいな外国人に頼る時代は、そろそろ終わりじゃないか」
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