Wedge REPORT

2018年10月17日

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メーカーの動向にかかわらず生産費半減が可能

カリフォルニアの自分の田んぼで水位を調整する田牧さん(1990年代後半)

 国は2013年、コメの生産費を当時の全国平均である60キログラム当たり1万6000円から10年の間に4割減にする方針を出している。これは、農家側が適した品種の選定や効率的な栽培の仕方をするだけでなく、農機や肥料、農薬の値段をメーカーの努力で引き下げることも前提になっている。それに対し、田牧さんは20ヘクタール以上の農家が四つの対策をとれば、メーカーの対応のいかんに左右されずとも、生産コストを50%削減できるとする。

 具体的な手段は以下の四つだ。

1.品種の転換による増産
 ハイブリッド米のような収量の多い品種に転換する。通常の種子に比べて割高で、増収により収穫や乾燥調製の作業がコスト増になるが、それを差し引いてもコスト減が可能と試算。

2.移植を直播に
 育苗と田植えをやめ、ドローンで種を空中散布。

3.収穫後の乾燥調製作業を外注に
 一定の規模を超えると自前で設備を持つ生産者が多いのを、地域やグループ単位で大型の乾燥調製施設を新設したり、既存のものを共有したりする。個々の生産者が自前の設備を持たないことで、減価償却費や機械購入費、電気料金、労務費、修繕費などを削減する。

4.管理時間の短縮
 ドローンを使って圃場全体を上空から撮影し、成長のばらつきや病害虫の発生を見つける。いちいち目視で確認する必要がなくなり、1人で管理する面積が増やせる。

 これらの具現化のために、田牧さんはドローン関連の開発やコンサルティングを行うエアフォーディー社長の宇佐美昌樹さんと一緒に今夏、新会社「田牧ファームスJAPAN」を立ち上げた。全国の大規模農家らと実証を重ねていく。今年はまず千葉県で、ドローンに可視光カメラを搭載して空撮し、稲の生育状況を把握する実証実験をした。来年は、富山県と福島県内で、ドローンによる種の空中散布を試す予定だ。ドローンに装着する播種機の部分は、自前で技術開発する。水田の水位の管理の自動化では、自動で開閉する水門の製造メーカーと協力する。

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