Wedge REPORT

2018年10月17日

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80年の蓄積持つ空中散布技術を日本に

茨城県産米のスーパーでの販売風景

 種子の空中散布は無人ヘリやドローンの農作業請負業者などがすでにサービスを始めていたり、実証をしていたりする。しかし、空中散布に長年の実績のあるアメリカの技術を踏まえたものにはなっていないと田牧さんは言う。

 「アメリカで飛行機による種の空中散布が始まって80年、今の基本技術が確立されてすでに数十年がたっています。この技術を日本の水田の規模に合ったドローンで行う」

 田んぼの土と種を、種がすぐに発芽できるよう、空中散布に最も適した状態にするのが大切だという。宇佐美さんは「ドローンによる種の散布は新たな市場だ」として、主導的な役割を果たしたいとする。ドローンを使った空中散布の技術について、特許を出願する意向だ。

 コメ産業の生産から流通、販売まですべてを変えると掲げていて、流通、販売の面でも新たな選択肢を農家に提供する。今年から早速、海外への輸出を始める。米国の日本食の高級レストランチェーンに富山県産コシヒカリ10トンを販売するのを筆頭に、欧米と中東に計30トンを輸出予定だ。

 「アメリカの日系スーパーも、日本食の店も、コメの品種にはこだわらない。味がおいしく、安定的に供給されるなら、それでいい」

 これはアメリカに限らず世界的に言えることで、買い手の求める価格帯でサンプルを送ってオーナーがおいしいと感じればOKとなるのだそう。

 田牧さんによると、カリフォルニア米の流通量70万~80万トン(白米ベース)のうち、コシヒカリなどの粒の長さの短い短粒種は1万トン程度で、残りは粒の長さが短粒種と長粒種の間の中粒種。中粒種は安いものだと15ポンド15ドル程度で売られている。世界の日本食レストランでは、価格が安い中粒種を使うところが圧倒的に多いという。

 「国産米には、カリフォルニア産コシヒカリはもちろん、15ポンド20ドルくらいの中粒種も競争相手になり得る」

 60キログラム当たりの生産費が6000円程度に下がれば、アッパー層だけでなく、ミドル層まで狙える。今の国産米の輸出ビジネスは、多くの産地が富裕層ばかりを狙うために、高い価格のものがダブついていたり、逆に売れないからと叩き売りされたりしている。だったらなぜ最初からミドル層まで狙って売らないのか。

 「日本食に合うおいしいコメは足りていない」

 そして、おいしいコメを安定的に生産できるという意味では、日本が最も優位にある。長年、世界をまたにかけて活躍してきたフロントランナーが達した結論だ。

  
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