先生に叱咤され、必死で取り組んだが、それでも、初日は徹夜をしなければ終わらなかった。これから大丈夫かと、年がいもなく不安になってしまった。
毎日出るもうひとつの宿題は、主要な新聞から関心のあるニュースを選び、ひとりひとり要約と自分の意見をプレゼンする「ニュース・アワー」だ。
記事はニューヨーク・タイムズやボストン・グローブなどアメリカの高級紙から選ぶよう指定されている。夕方までにクラスの全員にメールで記事を送り、夜のうちに全員で読んで翌朝一番でそれについて発表する。自分はくじ引きで2日目にあたってしまい、大わらわで準備した。
選んだのはワシントン・ポストから雇用に関する記事。「不況で米国では男性も女性も職を得るのが難しかったが、これまで女性の比率が高かった教育関連やセルフケア分野に男性が進出した結果、男性の方が女性より職を得るスピードが速くなっている」という内容だ。
長さはA4用紙で3ページほどの分量だが、結構難しい単語も多く、準備に苦労する。プレゼンの中で「みなさんの国ではどうですか」と問いかけたところ、「スペインでは男女同じ仕事でも給料が違い、女性の比率が高い仕事も多い」などと反応があり、議論は結構盛り上がった。先生から「テーマが面白かったのでみんなノリがよかったね」と言われほっとした。
とても厳格な英文法
授業でもう一つ重視するのが「書く英語(Written Engllish)」だ。大学入試で英作文はそれなりに勉強し、多少仕事でも使ってきたが、論文などに通用する厳密な書き方がいかに難しく、どれほど気を使うものか、あらためて認識させられた。
例えば適切に定冠詞のtheを使えるか、aやan を正確に使い分けられるか、前置詞の使い方は適切か、使う単語は数えられるのか(countable)そうでないのか(uncountable) など。これまであまり気にしていなかった英文の書き方を細かく診断され、病気で治療を受けている気分になるほどだ。
「車に乗る」はget in a car だが、get on a car と間違いやすく、get on では「ボンネットの上に乗る」ことになる。情報をさすinformation はuncountable なのでmany informations ではダメなど。実は相当、基本的な内容も含まれているのだが、いざ会話で使ったり英文を書こうとすると、これが結構よく間違える。
日本人のみならず、他の外国人もたびたび間違って、そのたびに先生に厳しく注意されていたから、このあたりは第二言語として身につける外国人にとって実は難しい関門なのかもしれない。授業では図書館の効果的な使い方や、文献の引用の仕方などについても実際に図書館を訪れて勉強した。このあたりの実践的な教育をしっかりやるところは、アメリカのすごいところだと思い知った。
授業は土日休みなので、週末を利用して妻とニューヨーク(NY)に小旅行に行った。1年間の滞在中、NYには何度も行きたいと思っているのだが、「生活が一段落したら最初の休日はNYに行きたいね」と以前から妻と話し合っており、出かけた次第。