2024年12月22日(日)

古希バックパッカー海外放浪記

2018年11月4日

(2017.11.4~2018.1.10) 68日間 総費用33万9000円〈航空券含む〉)

中国人・インド人ファミリーで賑わう高級新興住宅地の公園

 11月30日からメルボルン郊外の新興住宅地ウィリアムス・ランディング(Williams Landing)の公園に3泊することになった。12月1日午後に大雨強風警報がビクトリア州に発令され12月2日は終日荒天となったためである。この新興住宅地の公園の東屋には頑丈な屋根と壁があり絶好の避難場所となった。

バイロン岬の灯台から眺めるホリデーコースト

 到着した30日の夕刻は嵐の前の静けさで比較的穏やかな天気であった。東屋の前の遊具では沢山の子供が遊んでおり保護者がまわりを取り囲んでいた。中国系、インド系の家族が目立った。凡そ中国系4割・インド系3割。その他は白人系が2割、残りが回教系アジア人であった。

 中国人親子が歩いてきた。母親はアラサーで四川省出身。ITエンジニアの旦那と移住。1人息子は小学校低学年であるが、将来ビジネスで役立つように日本語を習わせているという。息子を英語・中国語のバイリンガルとして教育するが、アジア太平洋で広く活躍する国際人材にするために日本語を第3外語として選択したとのこと。中国人にはこうした実利的国際感覚を持つ人が多いと改めて感じた。

ウィリアムス・ランディングの新興住宅地

 中国系父子が折り畳み自転車とテントを興味深そうに見に来た。30台半ばの男性は福建省出身の電気技師であり7年前に豪州に移住。メルボルンのアパートで奥さんと息子の3人で暮らしていた。2年前にウィリアムス・ランディングに一軒家を購入して自分の両親を福建省から呼び寄せたとのこと。親を中国から呼び寄せて3世代で一緒に住んでいる中国人は多いという。子供の面倒を見てもらえるので助かるとのこと。

 確かに公園には中国系さらにインド系の3世代の家族が目立つ。中国・インドの大家族主義の伝統であろうか。孫たちを遊ばせている中高年世代は概して英語を解さない。中国人の中高年に中国語で話しかけると喜んで応じてくれる。豪州での生活に満足しているようだ。インド系の中高年も英語を話せない人が多かった。

新興住宅地に中印系ファミリーが多い理由は?

新興住宅地の公園の東屋にテントを設営。風雨を防ぐ絶好のシェルターとなった

 11月30日。夕暮れ時に犬を散歩させていたアラサーの素敵な白人女性が声を掛けてきた。彼女マルガリータは1960年代に両親がイタリアから移住。

 どうして中国・インド系の住民が多いのか彼女の説明を聞いて納得。すなわちメルボルン近郊の新興住宅地であるウィリアムス・ランディングはメルボルン市街区域と比較して不動産価格が安いので中国系やインド系の新移住者が購入するのに手頃である。また中印系新移住者は年齢が若いが高学歴・理工系であるので年収も豪州の平均より高い。それゆえニューファミリーでも一戸建てを購入できる。こうした背景があるので中印系ファミリーが多いとのこと。

中国人新移民をどのように見ているのか

グレートオーシャンロードは中国人観光客にも大人気。アポロベイの町の公園で会ったレンタカーで周遊している中国人女性たち

 マルガリータの両親が移住した1960年代は白豪主義の時代である。マルガリータの両親もマルガリータ自身も現在のオーストラリア政府の公式見解である『多様化(diversification)がオーストラリアをより豊かにする』という考え方を支持するという。

 政府が国籍・人種に関わらずオーストラリアの経済発展や文化向上に資する有用な人材を公平に審査して受け入れる移民政策は必要不可欠という国民的コンセンサスは揺るぎないと強調。近年急増している中国系移民についても厳格な審査を経ており心配していないし“善良な市民”であるという。

 旅行中に何人かに中国移民増加について意見・感想を聞いたが、マルガリータの見解は平均的オーストラリア人を代表していた。もちろん、中国人により都市の不動産が買い占められて不動産市場が高騰しているというような不満はあったが、中国人移民そのものに反対とか制限するべきというような否定的見解は聞かなかった。

 他方でマルガリータは「アフリカ系難民受け入れについては慎重に対応すべきと多くの市民が懸念している」と声を落とした。市民生活のルールを守らないとか、さらには治安上の懸念があり、現に某国出身者の犯罪が問題化していると眉をひそめた。

メルボルン名物のトラム(市電)は中国人観光客ばかり

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