2024年12月12日(木)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2018年11月15日

 10月29日、東京を訪問中のインドのモディ首相は、安倍総理と首脳会談を行い、その後、両首脳は、日印共同声明‛Japan-India Vision Statement’に署名した。同声明文は全6頁、25項目に及ぶ。内容も包括的、広範囲の日印協力を謳い、人的交流から、高速鉄道、スワップ協定、インフラ整備等、経済分野に関するものが多いが、以下では、主に安全保障に関する部分を紹介する。

(Vichly44/vectomart/iStock

・日印特別戦略的グローバル・パートナーシップは、共通の価値観に基づくもので、平和、繁栄及び進歩を達成するための主要な源泉である。日印両首脳は、自由で開かれたインド太平洋に向けて協働していく。

・ASEANの一体性と中心性が、インド太平洋の概念の中核にある。米国他パートナー諸国と協力を拡大していく。インド太平洋は、国家主権と領土の一体性、航行及び飛行の自由、適法な通商を確保し、脅迫や武力の行使に訴えることなく、国連海洋法条約を含む普遍的に認められた国際法の原則に依拠する。 

・質の高いインフラを通じた連結性の強化及び共通の繁栄のためのプロジェクトに関する協力を行う。この相乗効果 は、スリランカ、ミャンマー、バングラデシュ、アフリカを含むインド太平洋地域における日印間の協働プロジェクトにおいて具体化されている。「アジア・アフリカ地域における日印ビジネス協力プラットフォーム」の設立に向けた議論を開始する。 

・安全保障及び防衛協力を一層深化させ、既に設置されている協議枠組みに加えて日印外務・防衛閣僚会合(2+2)を設ける。二国間の安全保 障及び防衛協力の戦略的深化につながる日印物品役務相互提供協定(ACSA)の交渉を開始する。 

・海上自衛隊とインド海軍の頻繁な共同訓練及びマラバール演習並びに長年にわたる海上保安当局間の対話及び訓練等の協力に見られるように、海洋安全保障協力が著しく進展している。インド太平洋地域における海洋状況把握の拡大に係る交流の強化が、地域の平和と安定に寄与することを認識し、海上自衛隊とインド海軍の間の協力の深化に係る実施取決めが署名された。

・日印間の防衛装備・技術協力は、官民一体となって技術力と産業基盤を強化させるものである。日本とインドの防衛産業間及び当局間の交流を促進する。また、陸上無人車両及びロボット工学の分野における共同研究を開始する。US-2 飛行艇に係る 協力に関して引き続き努力する。 

・宇宙における二国間協力を強化するため、年次の宇宙対話を立ち上げることを決定した。共同月極域探査ミッションでの技術協力が進展している。 


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