気持ちを聞こうとする姿勢が、気づきを引き出す会話を生む
父:「○○はペットをかわいがっている時は、本当に楽しそうだね」
子:「うん、僕は動物が大好きだから」
父:「どんなところが好きなの?」
子:「なんだろう、なんだかホッとするんだよね」
父:「そっか、ホッとするのか。がんばっているんだな」
子:(ぼく、がんばってるのか。学校に行くのがちょっとしんどいの、それでかもしれない・・・)
子:「お父さん、子どもの時に学校いくのがイヤになったことってあった?」
父:「ん? 学校? そうだなぁ・・・(なにか話したいことがありそうだな。このまま話したいように話させてやろう)何回かあったかもなぁ。○○は学校、最近どう?」
子:「ん〜、実はね・・・」
上の会話は、親子の何気ないやりとりですよね。お父さんが息子さんのありのままに関心を寄せて、言葉に耳を傾けています。ただ、ポイントとなる会話が二ヶ所含まれています。
一つ目は、「ホッとする」という言葉を聞いて、「(ホッとするということは、いつもは)がんばっているんだな」と、息子の日常をねぎらっている点です。
そして二つ目は、子どもが唐突に「学校に行くのがイヤになったことってあった?」と聞いてきた時に、「何かあったのか?」と問いただしたり、「いったい急になんだ?」とさえぎったりすることなしに、話にそのまま乗ってあげている点です。
このように、会話の内容そのものではなく、話し手の気持ちを聞こうとする姿勢が、(ぼく、・・・)という気づきを引き出すのです。
人生経験がまだ少ない子どもは(実は大人もそうですが)、自分の気持ちをうまく整理することができません。しかし、誰かに自分の気持ちを聞いてもらえると、話しているうちに「自分は今こう思っていたんだ」「自分が本当にやりたいことは、これかもしれない」と、自分自身のことが見えてきます。
言葉に出すことで、自分の思いに気づけるようになる。
自分の気持ちに気づければ、行動に移ることができる。
ビジネスの1on1ミーティングでは、上司が部下の話に耳を傾け、適切な問いかけによって会話を進めていきます。
優先順位を意識することで自分の能力が発揮できるようになったり、ミッションと日常業務との関係を考えてみたりなど、多くの気づきを与え、次の行動へとつなげていきます。
親子1on1ミーティングもそれと同じで、親が子どもの話を聞くことで、子ども自身に気づきを与えます。
子どもはミーティングという意識はないので、ちょっと最近、お父さんとおしゃべりが増えたな、と思う程度でしょう。それがちょうどいいのです。親子1on1ミーティングは、週に1回、15分くらいで十分です。たった15分でも、気持ちを聞こうとする会話の15分からは想像以上に多くのことを学べるはずです。
“親子だからわかる”ではなく、親子だからこそ、意識的に会話をする時間をつくってみてはいかがでしょうか。
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