ぶっきらぼうなセリフのやり取りが、胸に迫る
茜は藤城からも逃れて、ビルのトイレで睡眠薬自殺を図るが、未遂に終わる。警務課から刑事課の応援にきた、尾関(舘)と若手刑事の田中啓介(神田穣)が入院した茜を訪ねると、彼女はこういうのだった。
「わたしは罰せられて当然なんです」
茜は、病院を抜け出て、名刺を頼りに板垣の家にたどり着く。板垣は行き着けの喫茶店で茜を落ち着かせるのだった。中学一年の女生徒自殺事件を思い出しながら、茜はこういう。
茜 「あの日からわたしは加害者になった。いまネットにさらされている。因果応報です。神の啓示のように、あなたに会った。それで死のうと思った。目が覚めたらベッドの上だった。わたしは死ぬこともできない」
板垣 「俺の責任か」
茜 「わたしも償わなければならない。あなたも償ってください」
板垣 「連続殺人事件か」
茜 「いえない」
連続殺人事件は、警察が聞き込みに行った男がその後、行方をくらましたことから、この男を重要参考人として手配する直前だった。しかし、ネット上で、犯人として名前と写真がさらされた、荒木琢磨(塚本高史)が犯行をにおわす電話を警察にかけて、任意同行された。しかし、彼の供述は、犯行現場に通じる道の各所に設置されていた防犯カメラに、彼の乗用車が映っていないことから、犯行は否定された。なぜ、嘘の供述をしたのか、警察を混乱に陥れる。
尾関(舘)と板垣(神田)は、連続殺人事件に別々の視点から迫っていこうとしている。ふたりの歩いている風景と出会った人物の言葉が、画面の切り替えの連続のなかで焦点を結ぼうとしているようだ。
尾関は板垣の自宅の前で彼を待っている。
板垣 「なんだ」
尾関 「ある女がおまえの名刺を持っていた」
板垣 「それがどうした」
尾関 「見崎茜を知っているか」
板垣 「知らない」
尾関 「本当に知らないのか」
板垣 「知らない」
尾関 「心当たりを思い出したら連絡くれ」
ふたりのぶっきらぼうなセリフのやり取りは、胸に迫る。シリーズ3は全4回。師走の夜に、じっくりと観たいドラマである。
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