2024年11月24日(日)

WEDGE REPORT

2018年12月14日

「コスト削減がすべての経営陣の最優先方針になった」

 KTの新労組は声明を通じて、「民営化の以降、KTは公共性を損なって収益の最大化を追求し、コスト削減がすべての経営陣の最優先方針になった」とし、「このため、随所に分散していた通信装備を高度に集中させ、装備が外れることによって空になった電話局の建物は丸ごと売却したり、不動産を開発したりして、オフィステル、ホテルなど賃貸業に転嫁した」「今回のKT阿現地社の火災による通信大乱はそのような認識の必然的な帰結である」と指摘した。

 KTは10年からKTエステートという系列会社を立ち上げ、不動産賃貸や開発事業に足を踏み入れ、公共性をないがしろにしたという。KTの不動産賃貸業の動きは繰り返される論争の種として俎上に載せられる。

 政界でも、今回のKT火災をめぐり、民営化の問題点に対する論議が起こっている。李哲熙・議員(共に民主党)は、「KTが民営化した後は、いわゆる通信公共性という概念よりも、収益極大化の概念に近づくしかない」とし、「KTが現在に民営化された企業であるため、収益を追求する自体を何と言うことはできないが、収益追求と公共性追求が衝突する場合が発生することはあるだろうが、どのレベルで公共性の概念が定着できるかは非常に重要な問題だ」と強調した。

 金鍾勲・議員(民衆党)は、「KTの民営化による人員削減と安全部門の外注化を根本的な原因として挙げ、「民営化の後に大規模なリストラを行い、(そのポストを)非正規職で埋めて 労働強度が高まり、さらに疎かにならざるを得ない」と指摘した。

 外注化の必然的な結果である委託業者のコスト削減が社会的災難水準にまで広がるのは、通信分野だけの問題ではない。今年10月、京畿道高陽市の大韓送油管公社の低油所に火災が発生した時も、01年に民営化された大韓送油管公社がコスト削減のために勤務人員を減らしたのが結果的に大きな事故につながった。

 KTは表向きには民営化されたが、政権から完全に独立していない。02年に民営化された後も、政権交代の時ごとに執権勢力の論功行賞の対象になり、繰り返し“天下り”人物が会長や主要ポストを占めた。「政権が天下りを通じてKTを所有物に転落させる可能性も排除できない」ということだ。


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