水道の民営化政策
公共サービスの民営化問題は、KTが全てではない。韓国の公企業の民営化は1968年から本格的に始まった。水道の民営化政策は、00年代に入り着実に推進されてきた。06年から水産業の育成、水道産業の構造改編などの名で推進してきた。
08年6月に当時、李明博大統領は特別記者会見を開き、「ガス、水、電気、医療保険はそもそも民営化計画が全くない。心配なさらなくてもいい」と述べた。李明博政権が上水道を管理する地方自治体法人の持ち株を民間も所有できるようにする“水産業支援法”を推進し、水の民営化に対する世論の懸念が最高潮に達した時点だった。
同年8月に環境省は、“上・下水道サービスの改善及び競争力強化のための法律”という民営化関連の法案を立法予告すると発表した。ところが、進歩(革新)陣営と労働組合などの反対にぶつかり、政治環境によって、9月に法制定を放棄すると発表したことがある。
地方自治体でもこのようなケースはあった。16年11月に、大田市が水道の民営化を図り、“上水道高度浄水処理施設民間投資事業”という名で浄水場の民間委託を推進したところ、進歩(革新)政党や市民団体などの強い反対により、結局、民間投資事業の撤回を宣言した。
民営化の長所を主張する側は、「ポスコ、コリアンリー、KT&Gのように民営化で国富を増やした事例は数多い。赤字を埋める税金をこれ以上浪費しなくなったのも少なくないお負け」と主張する。
一方、民営化の弊害を指摘する側は、「歴代政府で行なった公共機関改革(公共サービスの民営化)は、“金儲け”であり、そのため非正規職と子会社が量産され、サービスと料金の安定性に問題が生じ、社会的価値に反した。それなら公共機関法を改正してでも公共機関の役割を公共性を強化する方向に立て直さなければならない」と主張する。
文在寅政権になって、“社会的価値”は大きく注目されるイシューの一つだ。政府は昨年、“社会的価値の実現を先導する公共機関”を100大国政課題のうち12番目に発表し、今年3月には社会的価値を「政府革新3大戦略」の一つとして発表した。このため、来年からは公企業と準政府機関など公共機関の経営評価の際、社会的価値の具現が非常に重要な指標として扱われる予定だ。
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