2022年11月29日(火)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2018年12月19日

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 今回のケルチ海峡でのロシアによるウクライナ船舶攻撃は、国際法違反の戦争行為というべき行為である。攻撃のあと、23名の乗組員と船舶を抑留するとともに、ケルチ海峡にタンカーを持ってきて、ウクライナの民間船舶のケルチ海峡通過を阻止している。これがいつまで続けられるのかは不明であるが、乗組員の抑留は長期化の様相を見せている。

 アゾフ海はクリミア半島の東にあり、クリミア半島とウクライナ領土とロシア領土に囲まれた大きな海域であるが、黒海からアゾフ海に入る海峡はケルチ海峡しかない。ウクライナとロシアが2003年に結んだ協定では、両国の船舶はケルチ海峡の自由航行を保証されている。今回のロシアの行為は、ロシアが支援するウクライナから分離した地方に近いウクライナ南東部の都市を封鎖する効果を持つ。このような侵略行為を許しておいていいはずがない。そんなことをしていると、ますます世界は弱肉強食の無法なジャングルになってしまう。米欧日は、こういうロシアの行為に対してはそれなりの反応をしていかなければならないだろう。上記G7外相声明は、その一例である。G20の会場におけるプーチンとの会談をトランプがキャンセルしたのも当然の対応である。実質的な内容のある、もっと強い対応がこれらに続くこと望まれるが、例えば、EUは対ロ制裁継続の動きを強めている。米国、とりわけ米議会の対ロ強硬姿勢も一層強まると思われる。

 ロシアによるウクライナに対するエスカレーションに対し、ポロシェンコ大統領は戒厳令の発布に同意するように議会に求めた。11月26日、ウクライナ議会は大統領が要求した60日ではなく30日に期間を短縮して戒厳令発布に同意した。ウクライナでは大統領選挙キャンペーンが行われているが、これも一時停止されることになった。ウクライナのジャーナリストMaxim Eristaviは、‘Martial law in Ukraine could be a death sentence for its democracy’(ウクライナでの戒厳令はその民主主義にとり死刑宣告になりうる)と題する論説を寄せ、今度の事件がウクライナの民主主義、さらに旧ソ連諸国の内政に与える影響を心配している。国際法秩序を侵害し、世界を無法化する上において、プーチンほどならず者のようなことをしている政治家はいないと言ってよい。

  
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