2024年11月26日(火)

中年留学日記

2011年9月2日

 カナダの言語事情

 カナダ東部の都市を巡ってみて実感したのは、ケベック州は現在の北米では唯一ともいえるフランス語圏であるという印象だった。ケベック州の公用語はフランス語で、中でも州都のケベック・シティではスーパーなどに行っても、街中での普通の人たちが使う言葉はほとんどフランス語だった。これが同じケベック州内でもモントリオールにゆくと少し違っていて、英語もだいぶ通じるようになるなという印象だ。

 今回は訪れなかったが、さらに西のオンタリオ州のトロントまでゆくと英語がだいぶ優勢になるようだ。1970年代にケベック州の独立運動が激化した際には、フランス語化されることを嫌った多くの企業がモントリオールからトロントに移転し、モントリオールはカナダ最大の都市の座をトロントに譲った経緯があるが、最近では経済のグローバル化の影響でケベック州でもモントリオールなどでは英語への傾斜がすすんでいるようだ

 早くも過熱する大統領選

 アメリカではこの夏から次期大統領選挙が動き始めている。2012年11月が大統領選だが、早くも前年の夏から事態が動き始めていることに新鮮な驚きを感じる。民主党は現職のオバマ大統領が再選を目指すが、共和党は候補者を誰にするか、それを決める指名のプロセスが6月下旬から活発に動き出している。

 現在のところ、名乗りを上げている主な候補者は、草の根の保守運動「ティーパーティ」(茶会運動)の支持を受けたバックマン下院議員、ロムニー・前マサチューセッツ知事、ペリー・テキサス州知事という構図だ。日本の感覚だとまだ相当早いと思うのだが、すでに共和党内でのテレビ討論会や世論調査なども行われ、支持の低かった候補が早くも撤退を表明するなど淘汰が始まっている。大統領選には多額の資金を必要とするため、可能性が低いとみるとすぐ撤退するのがアメリカ流のようだ。アメリカのテレビはこうしたプロセスを逐一放送し、新聞なども手厚く報道している。1年以上かけて続く壮大な政治ショーの源流を見たような思いがした。

 アメリカでは州知事を経験した人が大統領候補になり、さらに激しい選挙戦を戦って大統領の座を射止めることが多く、州知事は大統領になるためのステップともいえる。クリントン元大統領もアーカンソー州の知事だった。国政である程度経験を積んだ人が県知事になって「上がる」ことも多い日本とは逆の動きだ。ただメディア側の評価も厳しく、テキサス州のペリー知事が、米連邦準備制度理事会(FRB)のバーナンキ議長について「追加的な大規模量的緩和に踏み切れば、ドル増刷で策を弄する反逆者」と演説で指摘したことについて、「反逆者」という言葉の使い方を一斉に批判した。大統領候補を目指す人物として言葉の使い方が適切ではないという観点からだ。

オバマ・バスツアーの思惑は明らか

  一方のオバマ大統領は政策をアピールするため、中西部を回るバスツアーを行い、8月15日から3日間かけてアイオワ、ミネソタ、イリノイと隣接する3州を遊説して回った。経済政策を強化することを表明するためのツアーと銘打ってはいるが、昨年秋の中間選挙でイリノイ上院選、アイオワ知事選で共和党に議席を奪われたところでもあり、来年の大統領選をにらんだ激戦区のてこ入れという目的は明らかだ。メディアもそこをわかっているからこそ、オバマ氏のこのツアーに関しては批判的な見方が強い。

  ただアメリカのメディアはテレビを中心にニュースの見せ方を工夫しており、日本の画一的な報道とは違って非常に興味深く見ることができた。こうやって一般の視聴者なども政治に関心を抱いてゆくのだろうと感心した。 

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