2024年4月26日(金)

中東を読み解く

2018年12月21日

「私には辞任の権利がある」

 撤退には一貫して反対してきたマティス国防長官は20日、大統領を翻意させようとホワイトハウスに赴き、最後の説得を試みたが、大統領は耳を貸さなかった。長官は提出した辞表で「大統領には考え方の近い国防長官を持つ権利があり、私には辞任の権利がある」と述べた。

 マティス長官は同盟国との国際協調を重視し、大統領の“暴走”にブレーキを掛けてきた。だが、長官の辞任により、政権内に大統領に直言できる人物はいなくなり、大統領の米国第一主義に基づく行動が加速することになるだろう。

 マティス氏は大統領から請われて国防長官に就いた。大統領は当初、長官をあだ名の「マッド・ドッグ」(勇者)と呼んで称賛、大のお気に入りだった。だが、大統領の戦略なき衝動行動を諫めているうちに遠ざけられ始め、ここ数カ月は話もできないような関係になっていた。

 とりわけ長官が次の統合参謀本部議長にゴールドフィン空軍参謀長を推挙したのに、大統領がこれを無視、ミリー陸軍参謀長を選んだのは長官への当てつけだった。北朝鮮との交渉でも、長官は外され、長官が大統領に見切りをつけるのは時間の問題と見られていた。

 トランプ大統領は将軍好きといわれ、就任当初からマティス長官のほか、フリン補佐官(辞任)、マクマスター補佐官(同)、ケリー国土安全保障長官(当時、後に首席補佐官)ら将軍を重用した。しかし、ケリー氏は年内で更迭されることが確定し、残るのはマティス将軍だけとなっていた。

  
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