トランプ大統領は今週末からクリスマス休暇のため、フロリダ州パームビーチにある別荘「マール・ア・ラーゴ」に移る。例によってゴルフ三昧の日々を送る計画だが、議会下院で野党民主党が多数派を握る中、ロシアゲートや不倫疑惑の捜査がヒシヒシと迫っている上、人事の混乱で頼りにする側近が少なく「かつてないほど孤立している」(米紙)という窮地に陥っている。
娘夫妻と衝突
大統領は中間選挙後に閣僚などの大幅な人事刷新を行うことを速くから宣言し、選挙直後にかねてから公言してきた通り、セッションズ司法長官を更迭、土地開発などの不正疑惑で捜査を受けていたジンキ内務長官の辞任を取り付け、辞表を提出させた。
大統領の最大の関心事はジョン・ケリー首席補佐官の更迭だった。首席補佐官はホワイトハウスのゲートキーパー(門番)。事実上の官房長官だ。だが、1人目のラインス・プリーバス氏はホワイトハウスの混乱を招いたとして事実上解任され、その後任に国土安全保障長官だった海兵隊の退役大将ケリー氏が大統領に再三請われて横滑りした。
しかし、大統領とケリー氏との関係はすぐに冷却化した。ケリー氏は混乱を収拾するため、ホワイトハウスに厳格なルールを敷こうと試みた。とりわけトランプ氏の側近らが大統領執務室に比較的自由に出入りしていた現状を改め、大統領へのアクセス権を厳しく規制した。
だが、大統領の娘イバンカ補佐官や、その夫のジャレッド・クシュナー上級補佐官がこれに強く反発、衝突した。大統領も自らのツイッターまで制限しようとしたケリー氏を次第に疎ましく思うようになり、最近は「顔も見たくない」(米紙)と、数週間話をしなかった。
とはいえ、大統領も軍に力を持つ海兵隊大将の大物ケリー氏をあからさまには切れなかった。このため大統領は、ケリー氏が辞任を申し出るよう環境作りをし、12月8日、ケリー氏が年末に辞任すると発表した。ケリー氏更迭の背景にはこうした事情があった。