ボールはバー司法長官に
捜査報告書は今後、バー司法長官からその要約が議会へ送られ、事実上公表されることになる。同長官は22日、議会指導者への書簡で、数日内に報告書の要約を送るとし「できる限り透明性を確保する」と述べた。議会下院は先に、報告書の全文を公表するよう求める決議を満場一致で可決している。
しかし、特別検察官規則によると、報告書の内容をどの程度、要約に盛り込むかは司法長官の裁量に委ねられており、捜査の情報源や方法などの極秘情報が漏洩しないよう、また大陪審での証言が漏れないように配慮することになっている。
民主党はかつて、長官がトランプ大統領の主張に沿うようなメモを書いていたことなどを念頭に、要約にホワイトハウスの意向が反映されるのではないかと懸念している。民主党のペロシ下院議長とシューマー上院院内総務は共同声明を発表、「公表前に報告書をホワイトハウスに密かに見せないよう」司法長官に警告した。米紙によると、ホワイトハウスは報告書の不都合な部分については、大統領特権を行使して、公表させないことも検討しているようだ。
大統領弾劾の手続き上の出発点になる下院司法委員会のナドラー委員長(民主党)は、現職の大統領が訴追されないという指針を犯罪のもみ消しに使われかねないと指摘、司法長官とホワイトハウスをけん制した。しかし、ペロシ下院議長は勢いづく大統領弾劾論に距離を置き、「トランプ氏は弾劾に値しない」と慎重姿勢を示しており、弾劾をめぐる動きは流動的といえるだろう。