2024年11月22日(金)

Wedge REPORT

2019年3月29日

―― OYO LIFEのサービスはどこから発想を得たのでしょうか。

勝瀬 OYO LIFEのビジネスモデルは、不動産の所有者から長期で部屋を借りて、それを短期の居住者に再び貸し出すというもの。つまりはサブリースです。また短期間から居住ができ、家具がそろっていると点ではウィークリーマンション的でもあります。その意味では既存のビジネスモデルと違いはありません。違うのは売り方です。

 私がブッキング・ドットコム時代に学んだのは、オーバーサプライ(供給過剰)のプロダクトを売るのにはインターネットが適しているということです。需要が上回っているものは買い手が探して売買が成立しますが、供給過剰になればどうにかして客を呼び込む必要があります。

 日本の不動産は今、供給過剰の時代を迎えています。相続税対策で次々と新規物件が建てられる一方で、人口減が始まっています。すでに800万軒もの空き家があり、2040年には賃貸住宅の4割が空き家になるとの予測もあります。供給不足の時代から供給過剰の時代に転換したことを認識して、売り方を変える必要があるわけです。

 ブッキング・ドットコムはネットでの簡単な予約とキャンセル料無料を武器にして客を集めました。キャンセルしても無料なので予約の70%はキャンセルされてしまうのですが、集めたお客の母数が膨大なのでそれでも成り立つわけです。アマゾンも顧客目線を徹底して客を集めました。販売しているものはどこでも買えるものですが、それでも客はアマゾンに集まるわけです。

 インターネットは規模の経済です。顧客目線を徹底し、入口のハードルを下げて、顧客を集めなければなりません。OYO LIFEはスマホから簡単に部屋を選べて敷金礼金も不要。それどころか試し住みという3日以内ならクーリングオフできるサービスも用意しました。ともかく入口を広くしなければなりません。携帯電話販売ではキャリア携帯が主流ですが、端末代を分割払いして、最初に支払う金額を安くできている点が大きい。最初に端末購入費を支払わなければならないSIMフリー携帯を買おうという人は多くはいないわけです。


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