赤坂英一の野球丸

2019年4月10日

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かつて4番を日替わりで起用

 そこで思い出されるのが、かつて4番を日替わりで起用していたシーズンである。えっ、そんなことがあったのか、と今時のファンは思われるかもしれないが、あったのだ。ほかでもない、山本浩二監督が一度だけ優勝し、日本シリーズでも日本一にあと1勝と迫った1991年のことである。

 この年のカープは開幕当初、右打者の外国人ロデリック・アレンが4番を打っていたが、打撃不振で一向に打率が上がらず、山本監督は左打者の西田真二を4番に起用するようになる。しかし、当時のカープは野村謙二郎、小早川毅彦に加え、若手だった前田智徳など中心打者に左が多く、相手チームに左投手をぶつけられることが増えた。そのため、西田が打てなくなると、山本監督はアレンと西田を交代で4番に入れることにしたのだ。

 予告制発制度のなかったこの時代、相手の先発投手が左ならアレン、右なら西田。先発を読み違えて、スタメン4番が西田なのに左投手が出てくると、すぐさまアレンを代打に送ったりしている。まるで漫画のような起用法だが、これが奏功して優勝までこぎつけたのだから野球は何が幸いするかわからない。

 ちなみに、この91年のシーズン、カープが首位に浮上したのは9月上旬。優勝マジックナンバーも点いては消え、昔の広島市民球場でやっと優勝を決めたのは10月13日のことだった。2位・中日との最終ゲーム差は僅かに3。この驚異的な粘り強さに、ある巨人のコーチは「カープは鯉じゃなくて蛇だ」と毒づいていたものである。今年のカープにも、ああいう往年のしぶとさを見せてほしい。

  
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