中東を読み解く

2019年4月11日

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トランプ、プーチン氏利用し挽回

 ネタニヤフ氏が今回の選挙戦序盤で苦戦を強いられたのは検察当局が3月、収賄など3件の容疑で首相を起訴する方針を発表し、批判が高まったからだ。主な容疑は同国の通信大手ベゼクに便宜を図った見返りに、同社傘下のニュースサイトで同氏を好意的に報道するよう要求したというものだった。だが、首相はトランプ米大統領、プーチン・ロシア大統領との親密な関係を誇示して劣勢を挽回した。

 特に首相の勝利はトランプ大統領のおかげと言っても過言ではない。大統領自身も、首相やイスラエルに肩入れすることが自らの再選につながると判断したのは間違いあるまい。大票田の大統領の支持基盤、キリスト教福音派が強くイスラエルを支持しているからだ。大統領はネタニヤフ氏の要請に応え、手始めにイスラエルが嫌っていたイラン核合意から離脱した。

 次いで係争の聖地エルサレムをイスラエルの永遠の首都と認め、昨年5月米大使館を同地に移転。この3月25日には、イスラエル占領下のシリア領ゴラン高原のイスラエルの主権を認める文書に署名した。一方で、パレスチナ自治政府に対しては厳しく接し、ワシントンの自治政府事務所の閉鎖、国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)に対する資金拠出停止に踏み切った。

 こうした2人の言動はまるで双子のように似通っている。トランプ氏がロシア疑惑で追及を受け、「政治的魔女狩りだ。ロシアとの共謀はない」と主張してきたのに対し、首相も「魔女狩りだ。(収賄など)ないものはない」と否定、両者がメディアを「フェイクニュース」と罵るところも同じだ。

 トランプ政権は選挙の熱気が沈静化するのを待って新たな中東和平提案を発表する見通しだ。トランプ氏の娘婿クシュナー上級顧問が中心となって策定した提案だが、イスラエルの主張をそのまま反映した内容にはならないと見られ、ネタニヤフ氏が米国の提案に従うのか、注目されるところだ。

  
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