2024年12月22日(日)

WEDGE REPORT

2019年3月25日

 バー米司法長官は24日、モラー特別検察官によるロシア疑惑捜査報告書の概要を議会に送り、ロシアとトランプ陣営との共謀を認定できなかったこと、トランプ大統領の司法妨害の十分な証拠がなかったことを明らかにした。大統領は「完全かつ全面的な潔白」と勝利宣言。今後報告書の全面開示を要求する民主党との攻防が激化する一方、大統領の反撃が始まった。

トランプ大統領から出された声明(AP/AFLO)

大統領専用機のコックピットに陣取る

 バー長官が議会に送った4ページの報告書概要によると、大統領選に勝利するためロシアと共謀したという「ロシアゲート」について、トランプ氏や側近らがロシア側と「合意」した証拠はなかったと結論付けた。この点に関し報告書は「ロシア関係者からトランプ氏の選挙を支援しようという複数の申し出があった」ことを指摘している。

 バー長官は概要の中で、「共謀」という言葉を使用せず、「合意」という表現を使った。トランプ大統領に配慮を見せたのではと受け取られている。また、ロシア疑惑よりも、立件の可能性が高いとされた大統領の司法妨害疑惑について、報告書は「大統領が罪を犯したと結論付けないが、潔白が証明されたわけではない」と“黒白の判断”を避けた。

 長官はこの点に関し、ローゼンスタイン副長官と協議した結果、「モラー特別検察官は大統領の犯罪を証明するのに十分な証拠を見つけることができなかった」と判断したことを明らかにした。司法妨害疑惑は大統領が当時のコミー連邦捜査局(FBI)長官に、フリン大統領補佐官(当時)に対するロシア疑惑の捜査をやめるよう要求したというものだった。

 米メディアによると、トランプ大統領は概要の内容を休養先のフロリダ州マール・ア・ラーゴの別荘で同行していた2人の弁護士から聞いた。この日も朝からゴルフを楽しんだ大統領は説明に「完全かつ全面的な潔白」と手放しで喜んだ。ワシントンへの帰任の直前、大統領は「こうした捜査が行われねばならなかったのは米国と、大統領にとって恥辱だ」と語った。

 大統領の支持者らはホワイトハウスを2年間覆ってきた暗雲が取り除かれたとお祝いムード。サンダース報道官は「捜査はいかなる共謀も、いかなる司法妨害も見つけることができなかった」と語った。だが、司法妨害の「潔白が証明されたわけではない」という指摘は無視した。

 トランプ大統領は「最高の気分」(副報道官)のようで、ニューヨーク・タイムズによると、エアフォース・ワン(大統領専用機)がフロリダからワシントンに着陸した時、コックピットに陣取っていたという。ホワイトハウスに戻った際も「米国は地球上で最高の場所だ」と短くコメント、気持ちを吐露した。


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