2024年11月22日(金)

海野素央の Democracy, Unity And Human Rights

2019年4月15日

トランプの「士気高揚の道具」

 トランプ大統領はモラー報告書を支持者の士気高揚を図る道具としても活用しています。集会に参加した約1万2000人の支持者を前に、ロシア疑惑捜査について「我々は容疑をかけられた犠牲者である」というメッセージを発信しました。すると、支持者から「彼ら(シフ・ナドラー両委員長)を収監せよ!」の合唱が起きました。トランプ大統領はこの集会で、「モラー報告書は政治的な利用価値が高い」という確かな手応えを得たでしょう。

第1列目で見る熱狂的なトランプ支持の白人女性(筆者撮影@ミシガン州グランドラピッズ)

 さらに、トランプ大統領にとって都合の良い議会証言が4月10日、バー司法長官から飛び出しました。バー長官は上院歳出小委員会での公聴会で、16年米大統領選挙の際中、「米情報機関がトランプ陣営に対してスパイ行為をした」と証言しました。同長官のこの発言は、反トランプの情報機関による陰謀論の存在を肯定したものと解釈できます。

 トランプ大統領は、「自分に対して憎悪のある人たちが、事実無根の(ロシア疑惑の)捜査を行った」と主張し、自身のツイッターに「彼らはクーデターを試みたが失敗した」とつぶやきました。

 ホワイトハウスの記者団からのスパイ行為に関する質問に対して、「信じがたいが事実だ。(米情報機関が)トランプ陣営にスパイ行為をした」と答えました。

 再選に意欲を示すトランプ大統領はモラー報告書に加えて、バー長官のスパイ行為を巡る証言も支持者に対する「士気高揚の道具」として用いています。

「社会主義反対」の看板を掲げるトランプ支持者(筆者撮影@ミシガン州グランドラピッズ)

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