2024年6月18日(火)

Wedge REPORT

2019年5月1日

2島で決着なら、国後、択捉失う

 不誠実きわまりない〝仕打ち〟にもかかわらず、なぜ譲歩を重ねようとするのか。柔軟に出れば、ロシアは領土を返すと本気で信じているのだろうか。それとも、解決できるとの何らかの確証をもっているのだろうか。

 安倍首相らは、4島返還というロシアにとって高いハードルを設定し続けて交渉の停滞をかこつより、「2島+アルファ」に変更したほうが先方にとって受け入れやすく、解決に近づくと考えている。

 しかし、自国の領土であることが歴史的経緯からみて明らかで、かつて一度もロシア領になったことのない国後、択捉両島を自ら放擲するとなれば、主権の放棄につながる。その結果、尖閣、竹島にどのような命運がもたらされるか、論じるまでもないだろう。

 日本政府が2島返還で決着したいとしても、ここはあくまで4島返還にこだわるべきではないか。その方針貫いて激しい交渉を重ねることで初めて、妥協策として2島返還が実現しうるのであって、最初から手の内をみせたのでは、交渉にはなるまい。ガルージン大使の発言のように、いい加減にあしらわれるのがおちだろう。

 ロシアの態度が不当、不誠実きわまりないことはいうまでもないが、誤解を恐れずにいえば、今回、早期決着が困難な情勢になりつつあることは、むしろ僥倖というべきではないか。2島返還で決着を見ていたなら、国後、択捉を取り戻す可能性は、未来永劫、失われていただろう。

 2島返還という譲歩をしてみても効果が上がらないとすれば、もはや選択肢は限られる。本来の原理、原則に立ち返るしかない。4島返還―という主張だ。交渉の長期化は避けられまいが、主権を放棄して独立国の尊厳を損なうことにくらべるとどちらがベターか。


新着記事

»もっと見る