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2019年5月1日

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樫山幸夫 (かしやま・ゆきお)

元産經新聞論説委員長

元産經新聞論説委員長。政治部で中曽根首相番、竹下幹事長番、霞クラブ(外務省)詰め、ワシントン特派員、同支局長、外信部次長、編集局次長、正論調査室長兼論説委員、産経新聞社監査役を歴任。2度のワシントン勤務時代は、ホワイトハウス、国務省などを担当、米国の内政、外交など幅広く取材した。

方針不変なのに、なぜ記述変える?

 「青書」を報告した4月23日、閣議後会見での河野外相の説明。

 「その年の外交について総合的に勘案して書いている。政府の法的立場に変わりがないことは言うまでもない」

 方針に変化がないのなら、変更を加える必要があるのか。立場を変えたから「青書」も変えたのではないのか。交渉相手のロシアはそのように解釈するだろうし、すくなくともそういう印象を内外に与えることは十分に想像がつく。

 日本の各紙は、いずれも「ロシアへの配慮をにじませた」(朝日新聞、4月23日夕刊)などと論評した。正しい見方だろうが、問題は、そうした「配慮」が意味をなすのか、効果をもたらすのかだ。

 日本政府は、プーチン大統領が2019年6月にG20(20カ国・地域首脳会議)に出席するため大阪を訪問する際の首脳会談で、2島返還を軸とすることで領土問題の大筋合意にこぎつけることをめざしていた。

 そのせいもあって、シンガポール会談以来、「2島+アルファ」での解決実現の可能性が一部で取りざたされたが、プーチン大統領は、冷ややかな態度を崩していない。19年3月、ロシア紙とのインタビューで、「(領土交渉の)勢いが失われた」「まず日本が米国との(安保)条約を離脱しなければならない」などと述べ、返還後の北方領土に米軍が駐留する警戒感を示した。

 ガルージン駐日ロシア大使も3月28日、日本記者クラブでの記者会見で、「2島+アルファ」について、「どう解釈すればいいかコメントするつもりはない」とやはり一顧だにしない態度をみせた。

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