2023年2月7日(火)

海野素央の Democracy, Unity And Human Rights

2019年5月17日

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海野素央 (うんの・もとお)

明治大学教授 心理学博士

明治大学政治経済学部教授。心理学博士。アメリカン大学(ワシントンDC)異文化マネジメント客員研究員(08年~10年、12年~13年)。専門は異文化間コミュニケーション論、異文化マネジメント論。08年と12年米大統領選挙で研究の一環として日本人で初めてオバマ陣営にボランティアの草の根運動員として参加。激戦州南部バージニア州などで4200軒の戸別訪問を実施。10年、14年及び18年中間選挙において米下院外交委員会に所属するコノリー議員の選挙運動に加わる。16年米大統領選挙ではクリントン陣営に入る。中西部オハイオ州、ミシガン州並びに東部ペンシルべニア州など11州で3300軒の戸別訪問を行う。20年民主党大統領候補指名争いではバイデン・サンダース両陣営で戸別訪問を実施。南部サウスカロライナ州などで黒人の多い地域を回る。著書に「オバマ再選の内幕」(同友館)など多数。

北朝鮮の短距離弾頭ミサイルはトランプだけに対するメッセージか?

 北朝鮮は5月4、9日に、複数の飛翔体の発射実験を行いました。トランプ大統領はホワイトハウスの記者団からの質問に、「深刻だ。誰も喜んでいない」と述べました。米ABCニュースで安全保障問題を担当しているマーサ・ラダッツ記者は、トランプ大統領が批判のトーンを強めたと報道しましたが、同大統領は「(北朝鮮との)関係は継続する」とも語っています。

 米国防総省は9日、飛翔体は短距離弾道ミサイルであったと確認しましたが、案の定、トランプ大統領は問題視しませんでした。米政治サイト「ポリティコ」とのインタビューの中で、「短距離ミサイルであって、極めて普通なものだ」と答え、許容範囲であるというメッセージを送ったのです。加えて、「(金正恩朝鮮労働党委員長との)信頼関係が崩れたとは考えていない」と語りました。

 ハノイでの2回目の米朝首脳会談が物別れになったので、交渉再開を望む北朝鮮がいらだって、挑発行為に出たと解釈できます。仮にそうであるならば、北朝鮮はトランプ大統領にメッセージを発信したということになります。

 しかし、北朝鮮が短距離ミサイルの発射であればトランプ大統領は許容し、金委員長との信頼関係の維持を重視するだろうと読んでいたならば、北朝鮮は一体誰にメッセージを送ったのでしょうか。

 率直に言ってしまえば、安倍晋三総理です。無条件で日朝首脳会談開催を強く希望している安倍総理の足元を見ている北朝鮮は、短距離弾道ミサイルを保持していることを認識させ、条件付きの会談開催を迫っているのでしょう。

 その条件とは、文在寅韓国大統領が米国との仲介役としての機能を果たさないので、トランプ大統領とコミュニケーション・チャネルが太い安倍総理にその役割を担わせることです。

 そのうえで、日朝首脳会談開催ないし拉致問題解決と、トランプ大統領への「経済制裁」解除要請をバーターにすることです。安倍総理がこの条件を呑まなければ、北朝鮮は即座に首脳会談を実現しないかもしれません。


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