中東を読み解く

2019年5月16日

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ドローンの脅威

 米国はイラク戦争で約4000人の兵士を失った。うち600人以上はイラン支援のイラク民兵の攻撃によるものだ。「米国が対イラン戦に踏み切る時には“100年戦争”を想定しないといけない。しかし、中東の紛争に巻き込まれることを毛嫌いしているトランプにはそこまでの覚悟はあるまい」(ベイルート筋)。中途半端な攻撃では大国イランとの戦争は成り立たないのだ。

 トランプ大統領は13日、イランの神権国家の転覆を求めるのか聞かれ、「何が起きるか見てみよう。イラン人が何かを行えば、それは大きな過ちになるだろう」と述べ、明言を避けた。大統領は最高指導者ハメネイ師ら聖職者が権力を握るイランの体制転換までは求めていないとの見方が一般的。体制転換まで狙っているのはボルトン補佐官らタカ派だけだろう。

 だが、こうした政治的な思惑とは別にペルシャ湾の緊張は高まる一方だ。先週末にかけ、ホルムズ海峡付近でサウジの石油タンカー2隻、ノルウェーのタンカーとアラブ首長国連邦(UAE)のタンカーそれぞれ1隻が何者かの攻撃を受け、船体の一部を破壊された。イランは否定しているが、米軍はイランが事件の背後に介在していると疑っている。

 タンカーへの攻撃とは別に、サウジアラビアの石油パイプラインが14日、イエメンの反政府勢力フーシ派のドローン(無人機)攻撃を複数回受けた。フーシ派はサウジのイエメンへの侵略に対する報復だとしている。

 サウジ当局によると、フーシ派はこれまで140回を超えるドローン攻撃を行っており、時速240キロで1500キロ以上航行できる無人機も開発しているという。フーシ派はイランが支援しているとみられており、米国とイランとの対決がさらにエスカレートすれば、米軍にとってはドローンも大きな脅威になりかねないだろう。

  
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