Wedge REPORT

2019年5月27日

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 とはいえ、やっぱりいつものように協会側はメディアに〝上から目線〟の態度を決め込んでいるから、朝乃山の快挙がいまひとつ盛り上がりにかけてしまう結果を招いているような気がしてならない。

 今場所は無双横綱の白鵬が休場し、そして人気者の新大関・貴景勝も右ひざ負傷で途中休場(再出場したものの再び休場)。優勝候補の注目力士が相次いで不在となり、協会側が慌てていた背景ももしかしてあったのだろうか――。そういう疑念を抱かれても仕方がない微妙な判定も朝乃山の取組にはあった。

 13日目の関脇・栃ノ心戦。一方的に攻めながら土俵際で栃ノ心の引き技に行司軍配が上がったが、物言いがついた。審判の協議の結果、栃ノ心のかかとが俵を踏み越していたとして差し違えとなり、朝乃山の白星となった。だが、割と鮮明に映されていたNHKのテレビ中継の映像では、栃ノ心のかかとは俵を踏みこしていないようにも見えた。審判団によれば、なぜかビデオ映像も正確にとらえられていたわけでないといい、約6分も土俵上で協議した末に最後は審判長を務めた阿武松審判部長が「目の前で見えた人の意見で判断した」という理由で断を下してまとめた。ネット上でも批判めいたコメントで大炎上したが、当たり前だ。

納得いっていない

 もちろん朝乃山に何一つ非はない。この一番について「納得いっていない」と振り返っているように本人にとっても不本意な勝ち名乗りであったことは明らかである。

 この不可解な判定を巡っては「今場所で『トランプ大統領からの記念すべきトロフィーをどの力士が受け取るか』は協会にとって重要事項。勝ち星でトップに立ち、日本人力士である朝乃山に一刻も早く平幕優勝を決めてほしいと考えたからではないか。そして何より千秋楽での優勝決定戦にもつれるような展開となれば、トランプ大統領の滞在時間が延びてしまい、VIPをイラつかせる流れになってしまうと協会側が〝忖度〟したのでは…。

 しかも今場所は1人横綱、2人大関なのに取組編成で朝乃山が結局、最後まで横綱・鶴竜、大関・高安との対戦が組まれなかったのは千秋楽のトランプ大統領の絡みもあって、どうしてもすんなり優勝してもらいたいという配慮が働いたとしか思えない」とうがった見方をする声まで出る始末だ。

 いずれにしても朝乃山にはせっかく達成した素晴らしい快挙が、今回の〝トランプフィーバー〟の添え物にされてしまった感も漂う。非常に気の毒な気がするが、今場所の優勝が「フロック」と言われないためにも来場所以降は上位との対戦を経て結果を出すことが求められる。まだ若いだけに角界の次代を担う本物の強者に成長を遂げてほしい。 

  
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