ベイファンにはストレスの溜まる戦いが続きっ放しである。横浜DeNAベイスターズは5日、甲子園球場で行われた阪神タイガース戦でサヨナラ負け。中盤過ぎまで3点リードで試合を優位に進めていたものの、最後は結局のところ引っくり返された。これで阪神戦は何と6連敗。シャレにならない惨状になってきた。
対巨人で苦しめられながら一時、低空飛行にあえいでいた虎にとっても弱いベイスターズは何をやってもうまくいくから自信回復のための格好の練習台だ。そのDeNA相手に阪神は勢いをすっかり取り戻し、借金も完済させた。敵地・甲子園のスタンドから「横浜銀行様々や!」との声が飛んだのもうなずける。
それにしてもベイスターズは情けない。今季は10連敗を喫するなどシーズン早々からの失速が響いて5日現在、借金8のリーグ最下位。5日の試合後、アレックス・ラミレス監督は「これからも試合はある。戦い続けるしかない」と毎度お馴染みの開き直ったかのような言葉を口にしたが、どうにも頼りにならない。そう思っているのは筆者だけではないはずだ。
ベイ失速の要因はいくつかある。打線の要である宮﨑敏郎内野手の絶不調、投手陣で言えば東克樹投手と石田健大投手が左肘の故障で開幕に間に合わず1か月以上も戦列を離れていたことなどが挙げられる。しかし、これらはあくまでも問題の「葉」の部分であり、もっと別のところに「根っこ」があると指摘する声は数多い。
その中で最もバッシングを受けているのは、ラミレス監督だ。ネット上でも辞任を求める書き込みが散見される。しかし、それもあながち暴論ではないかもしれない。実際に周辺からは「借金10を超え、浮上のきっかけもつかめない状況になってしまったら(6月4日からの)交流戦前にも途中休養があるかもしれない」との見解も聞こえ始めているからだ。
「データ重視」のスタイル
2016年からベイスターズの指揮官に就任しているラミレス監督は主に「データ重視」のスタイルを貫いてきた。その成果が現れかけたと思われたのが、就任からの2シーズンだ。就任1年目の16年シーズンは前年最下位だったチームを11年ぶりにAクラスの3位へ引き上げ、翌17年シーズンも3位。2年連続で進出したCS(クライマックスシリーズ)では16年に2位の巨人を倒してファーストステージを突破し、17年にはファイナルステージでリーグ覇者の広島を打ち破って19年ぶりに日本シリーズへと進出した。「短期決戦に強い知将」とまで持てはやされたのは記憶に新しい。
しかしながら昨季の18年シーズンは巨人とのデッドヒートの末にAクラス入りを逃して4位。それでもフロントの評価は変わらずに今季もまた1年の契約延長となっている。チームOBは「フロントはあまりにもラミレス体制に傾倒し過ぎている」と警鐘を鳴らした上で、こう続けた。
「これまでのラミレス監督の手腕には評価されるべきところも当然ある。事実、長きに渡って最下位争いが続いていたチームをAクラスへ引き上げ、ポストシーズンに強い監督であることも印象付けた。ただ投手起用は無茶な起用も随所で目立っており、やはり門外漢と言わざるを得ないところがある。
たとえば17年はエース格の今永(昇太投手)をレギュラーシーズンで先発の軸にしながらポストシーズンではリリーフも兼務させて大成功したが、翌18年は明らかに疲労のツケでコンディションが崩れた上に絶不調に陥ってしまい、大きな代償を支払うハメになった。
Aクラスに導いた成績面だけでなく、こういうラミレス監督の見えにくいマイナスポイントも看過してはいけない。そして何より特に今季はベンチ内でラミレス監督にモノを言う〝ストッパー役〟が不在な点も気にかかる」