もう「伝統の一戦」の呼称は令和の新時代から封印したほうがいいのかもしれない。またしても阪神タイガースが巨人に負けた。21日に本拠地・甲子園球場で行われた平成最後の巨人戦も成す術なく0―3で完敗。巨人戦は12年ぶりの開幕6連敗で、昨年9月8日(甲子園)から数えると9連敗となってしまった。しかも甲子園球場でのホームゲームでも昨年7月16日から9連敗(いずれも1分を挟む)と完全なカモにされている。
これで借金も6へと膨れ上がり、セ・リーグ単独最下位へ転落。この借金の数が今季巨人戦の負け数にそのまま反映されているのだから〝異常事態〟だ。ところが試合を見る限りチーム内に「何とかしよう」という危機意識はまるで感じられない。
21日の試合では先発した西勇輝投手こそ力投したものの、打線が相変わらずの大ブレーキ。苦手のクリストファー・クリソストモ・メルセデス投手に7回5安打無失点に封じ込まれたばかりか、野手陣の「お馴染み」とも言える守備のミスで結局自滅へと追い込まれた。
今季の巨人戦はここまでの6試合で9失策。思わず「わざとやっているんじゃないか」とツッコミを入れたくなるようなザル守備が目立つ。加えて投手陣は対巨人に何と6試合42失点と散々の内容で、2戦連続の零封負けとなった打線も6試合11得点とGの爆発力には到底及ばない。数字だけを見ても、その差は歴然だ。これではまず勝てるわけがない。
昨季の阪神は2001年以来となる17年ぶりの最下位に終わった。成績不振の責任を取る形で〝辞任〟した金本知憲前監督からバトンを引き継いだのが、矢野燿大監督だ。前政権と打って変わってソフト路線となり、二軍監督として評判の高かった手腕も期待されたが、ここまで目を見張るようなチーム改革の成果は現れていない。
そりゃあ、そうだろう。ドタバタ人事で勝てるほどプロ野球は甘くない。昨オフの舞台裏において金本前監督は今季も含め2年の契約期間を残しながら親会社・阪神電鉄本社の2トップの意向によって「辞任勧告」を通達されたと業界では言われており、昨季限りで事実上の解任へと追い込まれていたのだ。