論争は未だ沈静化する気配が見られない。石川県の星稜高校野球部・林和成監督が15日、学校側から山下智将部長とともに懲戒処分を通達された。その理由はご存知のように春のセンバツ高校野球大会で起こった騒動にある。
林監督は3月28日の大会2回戦で対戦した千葉県代表・習志野高校の二塁走者のサイン盗み行為を疑い、試合中に審判団にアピール。審判団が協議したものの、結局不正と認められず星稜は習志野に敗れた。
納得できない林監督は試合後も相手控え室へ乗り込み、習志野の小林徹監督へ直接抗議。報道陣へ怒りをぶちまけた後、一度は矛をおさめて一連の言動を日本高校野球連盟、習志野側に謝罪したが、地元へ帰郷すると今度はセンバツの大会期間中にもかかわらず無断で週刊誌の取材を受けたことでさらに波紋を広げていた。
これらの言動を学校側もさすがに看過できなくなり、4月4日に調査委員会を設置。同委員会の調査報告を精査した上で林監督に対し、春季北信越大会が終了する6月4日まで部の指導を禁止することを決めた。4月27日が初戦で目前に迫っている春季石川大会は山下部長を代行監督に据え、戦っていくという。
指導禁止期間の終了後、職務に復帰するか否かは今のところ未定。それでも道が完全に閉ざされているわけではない。林監督自身も復帰に強い意欲を示しているとのことで夏の甲子園へ向け、再びタクトを振るう可能性は十分に残されている。だが、世の中の風当たりは相当なものだ。特にネット上では「今すぐ辞任すべき」とのシュプレヒコールが方々から上がっている。それだけではない。当の高校野球界からも「続投すべきではない」「潔く身を引くべきだ」などといった厳しい声が大勢を占めている状況だ。
教育者としての行為なのか?
習志野に不正行為があったかどうかについて、すでに結論は下されている。審判団が「サイン伝達行為の確証はない」と判断を下しているからだ。個人的に言えば、サイン盗みという違反行為は立証が難しく「グレーゾーン」になってしまう感も何となく否めないとは思う。
とはいえ、それ以上にやはり林監督の暴走はスポーツの指導者、教育者として許されるべき行動ではないだろう。審判団の決定を不服として冒涜した挙句、準優勝した習志野のナイン、小林監督らチーム関係者の栄誉にも泥を塗り、さらに週刊誌へネタを〝切り売り〟するという前代未聞の行為に及んだからである。