2024年4月20日(土)

Wedge REPORT

2019年6月3日

 もちろん日本だけではない。海外でも一気に名声を高めている井上は先月21日、また快挙を成し遂げた。ボクシング界で最も権威を持つ米専門誌「リング・マガジン」が全17階級を格付けしたランキング「パウンド・フォー・パウンド」最新版を同日に発表し、自己最高の4位へと上がった。

 プロボクシングで体重差がなかった場合の最強選手をランキング化したPFPで、軽量級の日本人選手が世界のトップファイターも夢見るトップ3入りへ目前となった意味合いはとてつもなく大きい。そして、この「リング・マガジン」からは階級最強の証とされる同誌認定のバンタム級チャンピオンベルトも授与されている。

 しかも井上はWBA&IBF世界バンタム級ベルトを手にし、これまでWBC世界ライトフライ級、WBO世界スーパーフライ級の両王者にも輝いている。主要4団体で王者となったのは日本人初の快挙だ。

 その流れに呼応するように井上にはトップランク社CEOで世界的プロモーターのボブ・アラム氏、マッチルーム・スポルト社を経営する英国人大物プロモーターのエディ・ハーン氏が契約に名乗りを上げ、争奪戦がぼっ発しそうな気配となっている。

〝地球レベル〟で人々の脳裏にインプットされたイノウエの名前

 大物が集うWBSSで負ければ多くを失うリスクもある中、決勝に勝ち上がった。その無類の強さには日本だけでなく世界中の人々も魅了されている。そして史上最強への階段を瞬く間に駆け上がる日本人強拳ボクサーとして「井上尚弥=ナオヤ・イノウエ」の名も〝地球レベル〟で人々の脳裏にインプットされた。これでも名前が「地味」だなんて、もう何をか言わんやである。加えてリアルファイターにコメントの面白みがうんぬんなどという指摘も的外れであり、詭弁だ。

 WBSS決勝の相手は、5階級制覇を成し遂げたWBAスーパー王者のノニト・ドネア(フィリピン)。同決勝の期日と場所は未定だが、ぜひ圧倒的強さを見せて超大物も打ち砕き、大会優勝者に贈られる「モハメド・アリ・トロフィー」を手にしてほしい。つまらぬ外野の論評にも致命的なダメージを与え〝KO〟してくれることを切に願うばかりだ。

  
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