2023年1月27日(金)

WEDGE REPORT

2019年6月27日

»著者プロフィール
閉じる

樫山幸夫 (かしやま・ゆきお)

元産經新聞論説委員長

元産經新聞論説委員長。政治部で中曽根首相番、竹下幹事長番、霞クラブ(外務省)詰め、ワシントン特派員、同支局長、外信部次長、編集局次長、正論調査室長兼論説委員、産経新聞社監査役を歴任。2度のワシントン勤務時代は、ホワイトハウス、国務省などを担当、米国の内政、外交など幅広く取材した。

初めてではない日本批判

 実のところ、トランプ大統領が日本に対し、非難めいた強い表現を用いるのは、初めてではない。そのことも日本政府の複雑な思いを強め結果となっているのようだ。

 6月25日付の朝日新聞も報じているが、トランプ氏は2016年の大統領選の期間中、米軍駐留経費負担をめぐって日本批判を展開した。同年5月のメディアのインタビューの中で、日本側負担率に関して、具体的数字も知らないにもかかわらず、「なぜ100%ではないのか」「実際にかかっている経費はもっと多い」「日本は少なくとも要している費用は払うべきだ」(2016年、5月4日、CNNのインタビュー)と強い調子で日本批判を展開した。

 昨年秋、米紙「ウォールストリート・ジャーナル」は、トランプ大統領が日本との貿易赤字関して同紙コラムニストに対し、「日本がどれだけ(代償を)支払わなければならないかを伝えた瞬間、安倍首相との良好な関係は終わる」と述べ、安倍氏との〝友情〟を犠牲にしても強い態度で臨む姿勢を明らかにして日本側を驚かせた。

理性、根拠に欠ける批判

 これら大統領の批判、辛口発言は理性的、正当な根拠に基づいたなものなのか。

 在日米軍の駐留経費に関する発言を取ってみても、疑問といわざるを得ない。

 少し古いが2017年予算での日本側負担は「思いやり予算」と含めて3836億円。負担率は86%にものぼっている(筆者調べ)。これを知ってか知らずか、100%負担しろというのはいかにも乱暴に過ぎよう。それでは米軍は日本の〝傭兵〟になってしまう。

 ホルムズ海峡通過タンカー自力防衛にしても、もっともらしく聞こえるが、本当に正論か。米国が防衛あたっているからこそ、各国とも敬意を払い、北朝鮮の核問題でも米国のリーダーシップを認めるのであって、それをやめれば、各国にとって米国に従う理由はなくなる。

 誤解や無知、偏見から良好な同盟関係が損なわれたら、将来に禍根を残す。


新着記事

»もっと見る