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2019年8月25日

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中西 享 (なかにし・とおる)

経済ジャーナリスト

1948年岡山県生まれ。72年共同通信社に入社。88年から91年までニューヨーク特派員、経済分野を取材し、編集委員を経て2010年に退社。現在は経済ジャーナリスト。著書は「ジャパンマネーの奔流―ニューヨーク・東京・ロンドンの24時間」(1987年、ダイヤモンド社)、「日本買い 外資は何を狙っているか」(2005年、PHP研究所)など。

外国船の寄港が減少

 ほかの船会社もチャーターによる販売を増やす計画のようだ。しかし外国船社の場合、カリブ海、地中海、アラスカなどのクルーズが絶好調なため、昨年に伸びが鈍る傾向がみられた日本発着の船が、来年、計画通りの客が集まらなければ、日本への配船は増えないだけでなく減らされる可能性もある。外国船の場合、クルーズ船の寄港回数は17年に初めて2000回を超える2013回を記録したが、18年は1913回と減少している。

 ノルウェージャン・クルーズライン(本社、米国マイアミ)の川崎義則ジェネラルマネージャーは「18年に2回自主クルーズを行い、19年は2回行う予定」としているが、19年ツアーの詳細は発表できていない。外国船は日本発着が盛り上がらなければ、本社の意向で船をほかに回されるかもしれない。

「ジャパネット」が挑戦

 家電通販大手のジャパネットがクルーズ市場に参入、チャーター船で大量の利用客を見込んでおり、業界に衝撃を与えている。今年は既に6回のチャータークルーズを実施してほぼ満席の盛況だったという。

 20年は4月から10日間の日程で横浜―高知―鹿児島―済州島―秋田―函館を回るコースを5回、横浜―鹿児島―那覇―宮古島―基隆(台湾)を回るコースを3回の計8回のチャータークルーズを行うと発表した。一度に5600人が乗船できる大型船「MSCベリッシマ」を全船チャーターし、予約が埋まれば年間で約4万5千人が利用する計算になる。

 同社が受けている理由は、クルーズ旅行が割高で敷居が高いというイメージをなくしていることだ。具体的には、寄港地での主要観光地を回る無料循環バス、船内ではアルコールを含むドリンクの追加料金がなく飲み放題、ジャパネットの添乗員が搭乗して専用デスクを設置―など。またテレビショッピングを通じてツアーの内容に関して丁寧に説明をしていることもあって、他社のクルーズツアーと比較して初めての参加者が7割と多いのが特徴。

ベリッシマ

 ジャパネットはこの数年、家電製品だけでなく、寝具や水の宅配サービスなど商品・サービスの幅を広げてきており、クルーズビジネスへの参入もその一環とみられる。既存の旅行会社も販売力のあるジャパネットの参入により、安閑とはしておられない。

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