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2019年8月25日

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中西 享 (なかにし・とおる)

経済ジャーナリスト

1948年岡山県生まれ。72年共同通信社に入社。88年から91年までニューヨーク特派員、経済分野を取材し、編集委員を経て2010年に退社。現在は経済ジャーナリスト。著書は「ジャパンマネーの奔流―ニューヨーク・東京・ロンドンの24時間」(1987年、ダイヤモンド社)、「日本買い 外資は何を狙っているか」(2005年、PHP研究所)など。

「水際作戦」

 寄港地で観光客が急増すると、心配なのが違法薬物の持ち込みや密輸などが増えるリスクが高まることだ。超大型船の場合、一度に5000人もが入国するため手続きに時間が掛かるのが課題になる。全国の税関を統括する財務省関税局監視課では、違法入国や違法物の持ち込みを防ごうと「水際」作戦を進めている。

 数年前まではクルーズ船で入国する人の多くは富裕層だったが、いまは1泊1万円で楽しめるクルーズもあるため、多様な人が入国する。こうした事態に対応するため、同省では本年度からボディスキャナーという機器を税関に導入、入国する際にゲートをくぐってもらい、違法薬物などの持ち込みを食い止める。また、入国手続きをスピードアップするため、パスポートのコピーを読み取るバーコードリーダーを設置し、ブラックリストに載った不審者などを素早く特定する。また、空港や港の税関に配置する職員数も17、18年度と200人以上増やし、19年度は9617人になっている。

 同省によると、いまのところクルーズ船の乗客で大きな捕り物事件は発生していないが、油断はできない。入国に際しては、入国、税関、検疫の3つの手続きが必要になる。日本の港ではこの手続きが遅いなどのクレームは聞こえてこないが、今後は入港回数の増加に伴い、厳重な検査を行いながら円滑な手続きをどう確保していくかが課題になる。

  
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