本当に巨人に移籍しているのか?
球団史上ワースト記録に並ぶ4年連続V逸のどん底から這い上がる救世主として白羽の矢が立てられた以上、どんな手を使ってでも原監督はチームを頂点に導くしかないと思い込んでいたのであろう。
しかし現状では、これが皮肉なことに裏目に出つつある。昨オフは陰で「実は総額60億円越え」とまでささやかれるほどの超巨大補強を強行。広島から丸佳浩外野手、埼玉西武ライオンズから炭谷をFAで引き抜いたまでは良かったが、前オリックス・バファローズの中島裕之内野手は今や〝お荷物状態〟となっており、前シアトルマリナーズの岩隈久志投手に至っては一軍昇格のメドすら立たず「本当に巨人に移籍しているのか」と陰口まで叩かれる始末だ。
特に岩隈は、やり繰りが苦しくなる夏場にこそ一軍に上がって戦力にならなければならないはずだ。これでは何のために獲得したのか。まったく意味が分からない。
元メジャーリーガーのクリスチャン・ビヤヌエバ内野手も一軍と二軍を行ったり来たりで、ほとんど戦力になっていない。守護神候補の触れ込みだった前マリナーズのライアン・クック投手は今更ながらの先発転向で何とか結果を残そうと二軍調整中だが、この体たらくで年俸130万ドル(推定)なのだから巨人も相変わらず随分太っ腹な球団だ。
しかも7月30日のトレード期限が迫る中、またも新守護神候補として元メジャーリーガーのルビー・デラロサ投手を獲得。さらには北海道日本ハムファイターズ、東北楽天ゴールデンイーグルスとのトレードも2件成立させ、鍵谷陽平投手、藤岡貴裕投手、古川侑利投手を緊急補強した。ところが、この4人の投手も期待通りの働きを残せていない。デラロサや鍵谷ら中継ぎ陣は、逆にチームの足を引っ張るような失敗を繰り返してしまっている。
こうしてあらためて振り返ってみると、昨オフからシーズン中にかけて強行した巨人の巨大補強はお世辞にも成功したとは言い難い。他球団から移籍してきた10人の選手のうち「戦力になった」と自信をもって言い切れるのは、丸と炭谷の2人だけだ。下手な鉄砲も数撃ちゃ当たる――。そう言われても、仕方がないだろう。