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2019年8月8日

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「ガソリンより水が高い」国

 ただし政府系団体が主催するイベントなどでの水のペットボトル配布は基本的に禁じられており、また500人以上の集会でペットボトルを配布する場合には罰金、などの条例も定められた。

 一方でスポーツイベントや観光客など、脱水状態を防ぐために水分補給が必要な人にどう対処すべきか、という問題がある。これに対しては市内に無料の飲料水配布場所、つまり自分の水筒などを持っていれば飲み水を無料で入れることができる施設を増設するなどが行われている。

 ただしこれについて、基本的に配布される水は水道水となる。米国ではミシガン州フリントの水道水への鉛混入問題もあり、人々の水道水に対する信頼度が非常に低い。そのためにペットボトルの水が売れ、「ガソリンより水が高い」国として有名、という一面もある。社会インフラを整えて「水道水は安全に飲める水」であることを徹底して周知しない限り、飲料水の無料配布が広がっても利用者が増えない可能性もある。

 今回の空港での水のペットボトル販売禁止は、サンフランシスコ市の条例が空港まで広がったということではあるが、世界中から利用客が訪れる空港、という場所を考えるとやはり思い切った方策と言えるだろう。そしてサンフランシスコで始まったことはやがて全米に広がる、というのが過去の事例でもいくつもあり、今後追随する空港が増えるのは確実だ。

 もちろん、ペットボトル販売禁止による弊害を訴える声もある。例えば「カリフォルニアのように地震の多い場所で、ペットボトルの水は実際的な非常用飲料水の蓄えにふさわしいもので、一概に禁止するのはいかがなものか」「水を禁止すればそれに代わり炭酸飲料など甘味料入りのものを購入する人が増え、健康面で弊害がある」「水だけを禁止しても環境面でそれほどの違いが出ない」などだ。

 しかし、様々な反対意見があってもストローを禁止する動きが広がっていることを見ても、今後ペットボトルに対する風当たりがますます強くなることは確かのようだ。

  
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