7月に大阪で行われたG20サミットでも話題の一つとなった「プラスチックゴミによる海洋汚染」問題。米国ではすでに多くの小売店がレジ袋の無料配布の取りやめ、レストラン、ファストフードによる「プラスチック製ストローの撤廃」が進んでいる。
また、米国のレストランでは食べ残しの持ち帰りが可能だが、その容器もプラスチック製からアルミや紙などに急速にシフトしており、今やプラスチックの使い捨て製品は社会悪、という位置付けだ。
そんな中、サンフランシスコ国際空港が8月末から「空港内でのペットボトルによる飲料水販売を禁止」という方針を明らかにした。空港内の小売店、レストランはもちろん、自動販売機でも水のペットボトルの販売が禁止になる、という。対象となるのは蒸留水、ミネラルウォーター、炭酸水、電解水などだが、フルーツなどの味のついたフレーバーウォーターは除外となる。
空港による発表では「繰り返し使用可能な水のボトル、リサイクル可能なアルミ、ガラス、自然分解可能な素材を使ったボトルなどは販売可能、あるいは小売店によって提供される」としている。
つまりスターバックスが行っているような「マイ・マグ」を持ってコーヒーを買う、というようなことが今後は水にも求められるか、あるいはアルミやガラスのボトルに入った水のみが購入可能となる、ということだ。
もちろんこのような試みは全米で初のこと。また、サンフランシスコ空港では今後ソーダ、ジュースなど他の飲み物に対してもこのペットボトル禁止の対象に入れることも検討中だという。
米国では年間に500億本ものペットボトルが消費されるが、そのリサイクル率は23%にとどまっている。カリフォルニア州ではペットボトルの飲料販売時に小売店が1本あたり5セントの価格を上乗せし、リサイクルセンターに持ち込むとその5セントが払い戻される、というシステムを作るなど、リサイクルを奨励しているが、リサイクルセンターでの処理も追いつかない状態でプラスチックゴミの減少にはあまり役立っているとは言えない。
サンフランシスコは全米でも最も環境問題など社会的課題に対して敏感な都市と言われており、現在カリフォルニア州知事であるギャビン・ニューサム氏が長く市長を務めていた。ニューサム氏は市長時代に「サンフランシスコ市内でのペットボトルによる水の販売禁止」をいち早く提唱したが、飲料水メーカーによる反対などで現時点では「21oz(約620ml)以下の水のペットボトルの販売禁止」という条例にとどまっている。