7月にサンフランシスコで開催されたセミコン・ウエストという半導体関連のコンフェレンスで、ちょっとユニークな発表セッションがあった。サムスン、グーグルにカリフォルニア大学が加わり、「ゲーミングがハードウェアの進化を牽引している」というテーマで各スピーカーが現場を説明する、というものだった。
要するにゲームの進化により、各社とも高解像度スクリーン、大容量など「ゲームを楽しむためのプラットホーム」としての携帯を開発せざるを得ない状況になっている、という。セミコンではサムスンとグーグルがそれぞれのゲーミングソフト導入などの現場を語ったが、ゲームの一大市場はやはり中国、そして日本や韓国などの極東地域だ。
こうした巨大市場を狙い、サムスンなどの大手だけではなくASUS、Xiaomi、Razer、ZTEなどのメーカーが次々に「ゲームを遊ぶこと」を念頭に置いた携帯電話の開発を始めている。こうした機器はCPUパフォーマンスに優れていることに加え、パワフルなグラフィック、加熱を抑えるためのクーリングシステム、大容量バッテリーを備えるハイエンドマシンだ。
PCの世界ではすでにこうしたゲームに特化した製品というものが販売され、好調な売れ行きを示している。eSportsのようなイベントもあり、ゲームをするために快適なスペックが若者の間で好まれるためだ。
携帯市場が今PCの後を追うかのようにゲーム特化型マシンの流行を見せ始めているが、この傾向はPCよりもさらに拍車がかかったものとなりそうだ。
というのも携帯を使ってゲームをする、という人は今やゲーム人口のおよそ5割を占めている。ゲーム業界は年間売り上げ1400億ドルという巨大産業に成長しているが、その成長は今後も年率13%の増加を続ける、と見込まれているためだ。
携帯業界そのものが頭打ちの状態と言われるが、ハイエンドマシンの価格はどんどん上がっている。iPhone、サムスンギャラクシーなど、1000ドルを超える価格のものが出ているし、実際に売れている。
ASUSなどはこうしたハイエンドに比べると比較的価格帯が安い携帯、と捉えられがちだが、ゲームに特化という要素を加えることにより、これまでより高い価格帯でも購入者が興味を持つ可能性がある。つまり台数としては頭打ちの携帯業界の次の狙いは5Gネットワーク対応も含めた機器のハイエンド化、高級化ということになる。