日本では最近、農産物などの商品のパッケージについているQRコードを読み取ると、生産した農家や出荷時期などがわかる高度な追跡システムが構築されつつあるが、米国ではまだそこまで到っていない。出荷量や契約農家数が日本とけた違いに多く、何より日本のようにあらかじめ小分けにして野菜や果物が包装されていないからだ。
その代わり、定期的に発行するクーポン付きのチラシなどで詳細に商品説明を行っている。たとえば、新しい加工品を売る場合には、どんな原料を使ってどんな味付けをしているか、シチュー用の肉などの場合には、抗生物質や成長促進剤を使わずに100%天然素材のエサで育てられた結果、きれいな霜降りの肉になった・・・・といった具合だ。
また日本で最近関心が高まっている「地消地産」の動きも、米国でも見られるようになった。野菜などには「I'm a Local.(私は地元出身です。)」と書いて地元産をアピールしているものもある。
新鮮な地元産が人気
よく行くオーガニックスーパーのカスタマーセンターに取り扱う商品の流通について問い合わせてみたところ、全米各地でそれぞれエリアを分け、私の住むボストンのあるニューイングランド地域はコネチカット、メイン、マサチューセッツ、ロードアイランドが集まって1つのエリアを形成している。エリア内にある会社独自の農地や仕入れ先から供給を受けており、まさに地元の新鮮な産品であることが分かった。
米国では国民の間で健康志向が高まっているが、肥満などの生活習慣病は依然として大きな社会問題として存在しており、安全な食品や健康的な食事に対する関心は高い。米デロイト社が2011年に行った食品に関する調査によると、回答した73%の人が食品の安全性について5年前より高い関心を示した。
今後ますます米国人のオーガニック志向は高まり、これに対応したビジネスも一段と活発化するだろう。日本ではまだオーニック食品は高いというイメージがあるが、米国の動きが次第に日本にも広がれば、日本のオーガニック市場も拡大していくのかもしれない。
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